ウステキヌマブ、5-ASA併用の治療効果は単独と差無し
ニュース | 2025/3/14
生物学的製剤と5-ASAの併用、推奨されるべきかどうかの根拠は不十分
大阪公立大学は、炎症性腸疾患(IBD)患者さんの保険診療データからウステキヌマブと5-アミノサリチル酸(5-ASA)の併用効果を分析し、併用とウステキヌマブ単独でIBD再燃率に差がないことを明らかにしたと発表しました。
IBD患者さんに対し、ウステキヌマブなどの「生物学的製剤」と呼ばれる新しいタイプの薬と一緒に、古くから使われている5-ASAという薬も併用されることが多くあります。しかし、薬を併用することに本当に効果があるのか、はっきりとわかっていませんでした。また、最近のガイドラインでは、5-ASAの併用はあまり推奨されなくなってきていますが、その理由を裏付けるデータは不足していました。
今回の研究では、全国の病院で集められた潰瘍性大腸炎(UC)とクローン病(CD)の患者さんの保険診療データを詳しく調べ、ウステキヌマブと5-ASAの併用が本当に必要なのかを科学的に検証しました。
5-ASA併用はほとんど効果なし、ガイドラインを裏付け
AIツールを活用して膨大なデータを整理し統計解析を行った結果、UCやCDの患者さんでは、ウステキヌマブと5-ASAを併用しても再燃率に大きな差は見られず、治療効果に大きな違いはないことが判明しました。この結果は、最近のガイドラインで「5-ASAを無理に併用しなくても良い」とされている考えを裏付けるものと言えます。
今回の研究成果は、患者さんにとってより安全で、無駄のない治療方針を考える上で役に立つものです。また、5-ASAを必要以上に使わないことで、副作用リスクや社会全体の医療費削減にもつながることが期待されます。
(IBDプラス編集部)