炎症性腸疾患、ベドリズマブと5-ASAの併用効果を大規模データ解析で検証

ニュース2025/6/26

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現状では大多数の患者さんがベドリズマブと5-ASAを併用

大阪公立大学は、炎症性腸疾患(IBD)の治療薬であるベドリズマブと5-アミノサリチル酸(5-ASA)の併用効果を検証した結果、再燃率に大きな違いがないことを明らかにしたと発表しました。

近年、潰瘍性大腸炎(UC)やクローン病(CD)などのIBDの治療において、多くの患者さんが新しいタイプの薬(生物学的製剤)であるベドリズマブと、従来の治療薬である5-ASAを併用しています。現状では、UC患者さんの8割以上、CD患者さんの7割以上が、これらの薬を併用しているとされます。しかし、この2つの薬を一緒に使うことが本当に効果的なのかは、これまではっきりとわかっていませんでした。

5-ASAあり・なしでベドリズマブの治療効果に差は見られず

そこで今回の研究では、ベドリズマブを使用しているUC患者さん2,134人とCD患者さん514人のデータを詳しく分析しました。その結果、UC・CDともにベドリズマブだけを使っている患者さんと、ベドリズマブと5-ASAを併用している患者さんとの間で、病気の再燃率に大きな違いがないことがわかりました。

今回の研究によって、5-ASAの併用はベドリズマブの治療効果に、ほとんど影響を与えないことがデータとして示されました。追加的な効果が少ない治療薬の使用を減らすことは、患者さんの負担軽減と医療資源の有効活用につながります。一方で、5-ASAには大腸がんを予防する可能性があるという報告もあります。治療薬は患者さん一人ひとりの病状やリスクに応じて選択することが重要であり、今後さらなる調査が必要になると考えられます。

(IBDプラス編集部)

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