飲み薬タイプの潰瘍性大腸炎治療薬「ベルスピティ」、日本で販売開始

ニュース2025/9/26

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潰瘍性大腸炎患者さんの約半数が十分な治療効果を得られていない

ファイザー株式会社は、中等症から重症の潰瘍性大腸炎(UC)に対する治療薬として、スフィンゴシン1-リン酸受容体(S1P1,4,5)調節薬「ベルスピティ錠2mg(一般名:エトラシモドL-アルギニン)」を発売したと発表しました。

近年、UC治療薬は選択肢が増えていますが、十分な治療効果が得られなかったり、二次無効(最初は効いていた薬が徐々に効かなくなること)で再燃を繰り返したりするケースも多く見られます。実際、厚生労働省の研究班によると、患者さんの半数が再燃寛解型の経過を示したことが報告されています。欧州の研究でも、患者さんの10年間の累積再燃率(一度でも症状が悪化した患者さんの割合)は67%だったというデータがあります。

難治例では、生物学的製剤やJAK阻害薬を使用することで寛解を達成できるようになってきています。しかし、英国の研究では、これらの治療を受けた患者さんの44.3%が治療開始後12か月以内に薬の効果が不十分となったという報告もあり、課題となっていました。

服用が簡単なベルスピティ、新たな治療選択肢として期待

ベルスピティは、S1P受容体サブタイプ1、4、5と呼ばれるタンパク質に対してだけ活性を示すよう設計されたS1P受容体調節薬。UCを含む炎症性疾患に対する1日1回の経口投与製剤です。

この薬はUCの治療薬として2023年10月に米国で承認されて以降、2025年6月時点で、欧州連合、英国、カナダ、オーストラリア、シンガポール、スイス、イスラエルなど、38の国と地域で承認されています。日本では、中等症から重症の活動期にあるUC患者さんを対象とした国際共同第3相試験(ELEVATE UC 52試験、ELEVATE UC 12試験)および国内第3相試験(ELEVATE UC 40 Japan試験)の結果に基づき、2024年6月に承認申請を行い、2025年6月24日に製造販売承認を取得しました。

ベルスピティは、これらの臨床試験において有効性と安全性が確認されています。また、1日1回、決まった量(2mg)を飲むだけで済むため、利便性が高く、従来の治療で十分な効果が得られなかった患者さんのニーズに貢献できる可能性があります。

同社は「中等症から重症のUCに悩む患者さんの新たな治療選択肢として、本剤が患者さんの生活を大きく変えるブレークスルーになることを願っている」と、述べています。

(IBDプラス編集部)

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