シプロキサン(一般名:シプロフロキサシン)
潰瘍性大腸炎の治療で使用する主なお薬一覧 | 2018/8/2 更新
※このお薬は保険適用外です。
回腸嚢炎は、潰瘍性大腸炎の手術後に10~70%の患者さんに発症し、そのうち約半数は術後6か月以内に発症すると言われています。 近年では潰瘍性大腸炎に対する内科的治療の進歩に伴い、手術適応となる患者さんがより重症例に限定されてきている影響か、回腸嚢炎の発症率は増加傾向にあります。回腸嚢炎に対する治療に抗菌剤が有効であることからも、この病態の発症メカニズムに細菌の関連が強く示唆されています。このお薬は、細菌のDNA合成を阻害して殺菌的溶菌作用を示すニューキノロン系の抗菌剤で、回腸嚢炎の治療に用いられます。
監修者:薬剤師 小坂信夫
効能・効果
潰瘍性大腸炎の術後回腸嚢炎に推奨されています(潰瘍性大腸炎・クローン病診断基準・治療指針 平成28年度改訂版より)。
使用上の注意
- 処方された際には、必ず、医師や薬剤師から説明を受けてください。
- 決められた飲み方を必ず守ってください。
- 以下に該当する患者さんは、使用する前に医師、薬剤師にお伝えください。過去に薬を使用してかゆみ・発疹などのアレルギー症状が出たことがある、腎障害がある、てんかんなどの痙攣性疾患または既往歴がある、重症筋無力症、妊娠または妊娠の可能性、授乳中。
- この薬を服用中に長時間強い直射日光にあたると、ときに強い日焼けをしやすくなることがあります。
- 空腹時にカルシウムを多く含む牛乳などと同時に服用すると、吸収が低下し、効果が弱まるおそれがあるので注意してください。
併用禁忌・併用注意
他の医療機関で診察を受ける際には、この薬を服用していることを必ずお伝えください。また、他の医療機関で処方された薬があれば、必ず医師にご相談ください。以下のような薬や食品を使用している方は注意が必要です。
- 飲み合わせの悪い薬:鎮痛薬のケトプロフェン(坐剤)、筋弛緩薬のチザニン。
- 飲み合わせに注意すべき薬:鎮痛薬のNSAID、アルミニウム、マグネシウム分を含む胃腸薬(制酸剤)、リン吸着薬の炭酸ランタン・セベラマー、抗不整脈薬、気管支拡張薬のテオフィリン、抗うつ薬のデュロキセチン、免疫抑制薬のシクロスポリン・メトトレキサート、抗凝固薬のワルファリン、スルホニル尿素系血糖降下薬、抗パーキンソン病薬のロピニロール、抗精神病薬のクロザピン(クロザリル)、オランザピン(ジプレキサ)、シルデナフィル(レバチオ、バイアグラ)、抗てんかん薬のフェニトインなど。
用法・用量
通常、成人にシプロフロキサシンとして、400~600mg/日で2週間経口服用します。効果が不十分な場合は4週間を目安として投与します。さらに効果が乏しい場合はほかの抗菌剤の使用を考慮します。難治例の中には抗菌剤の長期投与を要する例がありますが、副作用の出現に留意し、薬剤の減量を図ります(潰瘍性大腸炎・クローン病診断基準・治療指針 平成28年度改訂版より)。
副作用
副作用は他の薬剤に比べると少ないほうです。主な副作用として、発疹、胃不快感、下痢、嘔気、食欲不振、光線過敏症などが報告されています。このような症状に気づいたら、担当の医師または薬剤師に相談してください。まれに下記のような症状があらわれますが、[ ]内に示した副作用の初期症状である可能性があります。このような場合は使用を中止し、すぐに医師の診療を受けてください。
- 呼吸困難、顔面蒼白、冷汗[ショック、アナフィラキシー]
- 腹痛、頻回の下痢、血便[大腸炎]
- 手足の筋肉痛、脱力感、赤褐色尿[横紋筋融解症]
- 発熱、咳、呼吸困難[間質性肺炎]
- 発熱、眼や口など粘膜のただれ[中毒性表皮壊死融解症、皮膚粘膜眼症候群、多形紅斑、急性汎発性発疹性膿疱症]
以上の副作用はすべてを記載したものではありません。上記以外でも気になる症状が出た場合は、医師または薬剤師に相談してください。
コラム
感染症の起きている場所や原因の菌を検査・診断し、治療方針を決め、その結果により抗菌剤が選択されます。そのため、抗菌剤を内服する量や期間は、感染が起きている場所と原因となる菌の組み合わせで変わってきます。抗菌剤を処方されたときには必ず用法・用量を守り、決められた日数できちんと飲み切るようにしましょう。また、症状が改善されたなどの理由で服用を途中でやめてしまうと体内に菌が残り、治るまでに余計に時間がかかってしまったり、症状がぶり返したり、次に同じお薬を飲んだ時に効きにくくなってしまうこともあります。
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