フラジール(一般名:メトロニダゾール)
潰瘍性大腸炎の治療で使用する主なお薬一覧 | 2018/10/11
※このお薬は保険適用外です。
回腸嚢炎は、潰瘍性大腸炎手術後に10~70%の患者さんに発症し、その約半数は術後6か月以内に発症すると言われています。 近年では潰瘍性大腸炎に対する内科的治療の進歩に伴い、手術適応となる患者さんがより重症例に限定されてきている影響か、回腸嚢炎の発症率は増加傾向にあります。回腸嚢炎に対する治療に抗菌剤が有効であることからも、この病態の発症メカニズムに細菌の関連が強く示唆されています。抗菌剤であるこのお薬は、回腸嚢炎の治療に用いられます。
監修者:薬剤師 小坂信夫
効能・効果
潰瘍性大腸炎の術後回腸嚢炎に推奨されています(潰瘍性大腸炎・クローン病診断基準・治療指針 平成28年度改訂版より)。
使用上の注意
- 処方された際には、必ず、医師や薬剤師から説明を受けてください。
- 決められた飲み方を必ず守ってください。
- 脳や脊髄に病気のある人は使用できないことがあります。また、肝機能障害があると血中濃度が上昇しやすいので慎重に用いるようにします。
- 妊娠中もしくはその可能性のある人は、必ず医師や薬剤師にお伝えください。
併用注意
他の医療機関で診察を受ける際には、この薬を服用していることを必ずお伝えください。また、他の医療機関で処方された薬があれば、必ず医師にご相談ください。以下のような薬や食品を使用している方は注意が必要です。
- 抗血栓薬のワルファリン、気分安定薬のリチウム、抗酒薬のジスルフィラム、抗がん薬のフルオロウラシル、免疫抑制薬のシクロスポリン。
- 投与期間中の飲酒は禁止です。
用法・用量
通常、成人にメトロニダゾールとして、500mg/日で2週間経口服用します。効果が不十分な場合は4週間を目安として投与します。さらに効果が乏しい場合は、ほかの抗菌剤の使用を考慮します。難治例の中には抗菌剤の長期投与を要する例がありますが、副作用の出現に留意し、薬剤の減量を図ります(潰瘍性大腸炎・クローン病診断基準・治療指針 平成28年度改訂版より)。
副作用
副作用は他の薬剤に比べると少ないほうです。ときに、食欲不振、胃の不快感、吐き気などをもよおすことがあります。まれに下記のような症状があらわれますが、[ ]内に示した副作用の初期症状である可能性があります。このような場合は使用を中止し、すぐに医師の診療を受けてください。
- 手足のしびれ、感覚が鈍い、灼熱感、ピリピリとした痛み[末梢神経障害]
- ふらつき、よろける、ろれつが回らない、話せない、手足のしびれ、けいれん、物忘れ、混乱・もうろう状態、幻覚、意識低下[中枢神経障害]
- 首の硬直、発熱、頭痛、吐き気・嘔吐、意識がもうろうとする[無菌性髄膜炎]
- 発疹、発赤、水ぶくれ、膿が出る、皮がむける、皮膚の熱感や痛み、かゆみ、唇や口内のただれ、のどの痛み、目の充血、発熱、全身けん怠感[重い皮膚・粘膜障害]
- 吐き気、嘔吐、上腹部~背中の激しい痛み[膵炎]
- 発熱、のどの痛み、口内炎、咳、倦怠感[白血球減少、好中球減少]
- 激しい腹痛、頻回な下痢、発熱、血液便、下血[大腸炎]
- 食欲不振、胃の不快感、吐き気、下痢、腹痛
- 発疹、かゆみ
コラム
抗菌剤は病気の原因となる細菌が増殖するのを抑えたり、殺す作用があります。日頃よく耳にする「抗生物質」は、微生物からつくられた抗菌剤です。有名なペニシリン薬も、青カビから作られています。これらに加え、現在は化学的に合成して作られた「合成抗菌剤」があります。細菌が原因の病気のときは原因菌を突き止め、その菌に効果のある抗菌剤が選ばれます。なお、ウイルスに抗菌薬は効きませんので注意しましょう。
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