クローン病と乳製品【CDと食事のQ&A】
ライフ・はたらく | 2019/2/28
※クローン病と食事(食材)の関連性は現在もなお不明な点が多く、緩解期か活動期か、手術の経験があるかないか患者さん個々人の状況によって食べられるもの・食べられないものが大きく異なります。医師や栄養士など専門家によく相談して、摂取の可否を判断しましょう。
牛乳、ヨーグルト、チーズなど、乳製品は身近な食材のひとつです。最近では「腸内フローラ」「プロバイオティクス」などで、さらに注目を集めていますが、クローン病の患者さんにとって、乳製品は安心な食品なのでしょうか?ここでは、特にヨーグルトを中心に、食べる際の注意点やポイントについてお伝えします。
監修者プロフィール
管理栄養士・スポーツ栄養専門士(公認スポーツ栄養士取得予定)
優生(ゆうき)
自身もIBD患者である病院栄養士。予防医療の普及や女性や子供の健康のために活動する、Luvtelli東京&New York公認カウンセラーとしても活動。得意分野はスポーツ栄養と予防栄養。Instagram:https://www.instagram.com/you.neeeee07
Amebaブログ:http://s.ameblo.jp/yu-ki-lifewith
1. クローン病の人が乳製品を食べても問題ない?
ヨーグルトをはじめとする乳製品は体によいというイメージがあるかもしれませんが、「乳糖」を分解する酵素の「ラクターゼ」が少ない「乳糖不耐症」の場合は違います。乳糖不耐症の人では、乳糖が消化されずにそのまま大腸に入って発酵し、大量のガスや有機酸が作られ、これらが腸管を刺激した結果、下痢や腹痛、腹部膨満などを引き起こすことがあります。IBD(炎症性腸疾患)患者さんは乳糖不耐症の人が多いと言われており、注意が必要です。
また、クローン病患者さんにとって「乳脂肪」も要注意です。クローン病では、一度に大量の脂質を摂取すると腸管の運動が活発になり、下痢や腹痛の原因になると考えられています。さらに、脂質の消化吸収に必要な消化酵素の胆汁酸が、腸管にとって刺激となるうえ、胆汁酸が減ると脂質の消化不良が起こることもあり、下痢の原因となります。乳製品を選ぶときには、パッケージにある脂質の量を確認することを習慣づけましょう。避けてしまいがちな牛乳やチーズも、低脂肪や無脂肪のものであれば食べられる人もいます。挑戦しやすいものから、少しずつ試してみてはいかがでしょうか。
2. ヨーグルトに含まれるタンパク質は大丈夫?
ヨーグルトのような発酵食品は、乳酸菌の働きで乳糖がある程度分解されており、乳糖不耐症の人が食べても問題がないことが多いと考えられています。また、タンパク質もある程度分解されているので、クローン病患者さんにとっても、ヨーグルトは消化吸収に優れた食品といえます。液体の牛乳とは異なり、固体のヨーグルトは消化管をゆっくりと通過するため、腸への刺激も少なくなります。
3. プロバイオティクスは腸にどんな効果があるの?
最近、乳酸菌やビフィズス菌といった生菌の摂取が「プロバイオティクス」として注目を集めています。プロバイオティクスとは主に、「腸内常在菌のバランスを変えることにより宿主に保健効果を示す生きた微生物」を指します。発酵乳や乳酸菌飲料、乳酸菌やビフィズス菌入りの補助食品、整腸剤などに多く含まれています。また、プロバイオティクスは乳製品以外にもザワークラウトや味噌にも含まれています。
小腸や大腸に到達した乳酸菌やビフィズス菌などの生菌は、大腸菌やウェルシュ菌、クロストリジウム菌などの有害な菌の働きを抑え、腸内フローラのバランスを整えます。バランスが整うと「ガスの発生が減る」「腹部膨満感が軽減する」「下痢や便秘が改善する」だけでなく、免疫機能が高まり、感染やアレルギーを防ぐ効果も期待できるとされています。
(ライター:植田晴美)
- 参考文献
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- 松本誉之、斎藤恵子ほか:潰瘍性大腸炎・クローン病の人の食事, 女子栄養大学出版部, 2003
- 田中可奈子、酒井英樹ほか:クローン病・潰瘍性大腸炎の安心ごはん, 女子栄養大学出版部, 2014
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