活動期UCを対象にベドリズマブとアダリムマブを比較したVARSITY試験の詳細データ発表
ニュース | 2019/5/23
ベドリズマブがアダリムマブに対し52週時点で有意に高い臨床的寛解を達成
武田薬品工業株式会社は5月20日、中等症~重症の活動期潰瘍性大腸炎患者を対象に、生物学的製剤「ベドリズマブ」と、同じく生物学的製剤のアダリムマブを直接比較した臨床第3b相試験であるVARSITY試験から得られた詳細な結果を発表しました。同試験では、ベドリズマブがアダリムマブに比べ、52週時点で有意に高い臨床的寛解を示すことが既に発表されています。今回の発表は、そのデータを精査した結果です。
ベドリズマブは、「α4β7インテグリン」という、活性化リンパ球の表面にあるタンパク質に結合するモノクローナル抗体で、このリンパ球が炎症を起こしている腸管に参戦のために向かうのを阻止する働きがあります。一方のアダリムマブは、炎症の原因物質であるTNFαに結合して作用を抑えるモノクローナル抗体です。
今回得られた、新たな探索的データでは、ベドリズマブ静脈内投与群はアダリムマブ皮下投与群と比較し、14週時点でより多くの患者さんに臨床的改善がみられました(ベドリズマブ群:67.1%、アダリムマブ群:45.9%)。2群間では、6週時点の早期の段階から、ベドリズマブ群の方が良好なかたちで改善に相違がみられました。これらの結果は、2019年5月18~21日に開催された米国消化器病週間(DDW)年次総会で発表されました。
組織学的疾患活動性の消失でも、ベドリズマブが有意な結果に
組織学的疾患活動性の消失に関する追加の探索的データについても同学会で発表されました。組織学的疾患活動性は、消化管内の顕微鏡的炎症の程度を評価する評価項目です。組織学的疾患活動性の消失は、あらかじめ定義された重症度の閾値を下回った場合に達成と判定されます。VARSITY試験では、それぞれの基準において、アダリムマブ群の13.7%および25.6%と比較し、ベドリズマブ群ではそれぞれ33.4%および42.3%の患者さんで組織学的疾患活動性の消失を達成し、ベドリズマブ群において一貫して良好な結果が認められました。
武田薬品は「潰瘍性大腸炎を対象として、2種類の生物学的製剤を初めて直接比較したVARSITY試験は、治療決定の際の根拠となり得る貴重な情報を提供する一方、これらの治療薬が顕微鏡レベルでどのように作用するかに関する当社の理解を深めるものでもあります。VARSITY試験からのデータは、ベドリズマブの一貫した結果を示しており、潰瘍性大腸炎におけるファーストラインの生物学的療法としてのベドリズマブの使用を支持するものです」と述べています。
(IBDプラス編集部)
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