クローン病成人患者における肛門周囲複雑瘻孔治療製品「Darvadstrocel」を承認申請
ニュース | 2021/2/16
既存治療で効果不十分なクローン病の肛門周囲複雑瘻孔に対する「細胞治療」
武田薬品工業株式会社は2月10日、「Darvadstrocel」(開発コード:Cx601)について、非活動期/軽度活動期のクローン病成人患者における肛門周囲複雑瘻孔治療製品として、厚生労働省に製造販売承認申請を行ったことを発表しました。
Darvadstrocelは健康成人の脂肪組織から抽出した、同種異系の増殖させた脂肪組織由来幹細胞(eASC)の懸濁液で、非活動期/軽度活動期のクローン病成人患者における肛門周囲複雑瘻孔の治療製品です。なお、投与前には瘻孔の処置が必要です。
同剤は、2009年に欧州委員会(EC)で、2017年にFDAより希少疾病用薬の指定を受けています。また、2018年5月に非活動期/軽度活動期の成人のクローン病患者において、既存治療薬または生物学的製剤による治療を少なくとも1回以上実施したにもかかわらず効果不十分な肛門周囲複雑瘻孔への治療製品としてECより承認を取得し、欧州において「Alofisel」の製品名で販売されています。さらに、2019年には米国でFDAより、クローン病成人患者における肛門周囲複雑瘻孔治療製品として、再生医療先端治療(RMAT)指定制度の指定を受けています。
日本では、非活動期/軽度活動期のクローン病成人患者さん22人で有効性と安全性を検討
今回の申請は、日本国内で実施された「Darvadstrocel-3002試験」および、欧州およびイスラエルで実施された「ADMIRE-CD試験」の結果に基づくものです。
Darvadstrocel-3002試験は、日本人の非活動期/軽度活動期のクローン病成人患者さん22人を対象に、Darvadstrocelの有効性と安全性を検討した臨床第3相、多施設共同、非盲検非対照試験です。
ADMIRE-CD 試験は、非活動期/軽度活動期のクローン病成人患者さん212人を対象にDarvadstrocelの有効性と安全性を検討した臨床第3相、無作為化二重盲検比較試験です。Darvadstrocel-3002試験の結果は、学会で今後公表される予定としています。
武田薬品工業は「クローン病に伴う肛門周囲複雑瘻孔は、患者にとって多大な負担となり、QOLを著しく低下させる深刻な合併症だ。クローン病に伴う肛門周囲複雑瘻孔を有する日本の成人患者に、この新たな細胞治療という治療オプションをお届けするための第一歩を踏み出せたことを誇りに思う」と、述べています。
若年や働き盛りの患者さんが多いクローン病にとって、痛みを伴う肛門病変は本当につらく、大きな問題だと感じます。1日も早く、新たな治療選択肢が登場してくれることを願います。
(IBDプラス編集部)
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