腸管で増加しクローン病患者を悪化させるT細胞を特定、潰瘍性大腸炎では減少

ニュース2023/1/18

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「組織常在性記憶T細胞」とIBDの病態との関わりは不明だった

大阪大学は、クローン病患者さんの腸管で増加し、病態を悪化させる「組織常在性記憶T細胞」を同定したと発表しました。

近年、炎症性腸疾患(IBD)治療薬の開発が進み、特に抗TNFα抗体製剤をはじめとする分子標的薬の参入により、寛解導入率は飛躍的に改善しました。しかし、クローン病では腸管の狭窄や瘻孔、潰瘍性大腸炎では炎症性発がんなど、長期的予後に関する多くの課題が残されており、長期予後の改善が新たな治療目標となりつつあります。

IBDはヘルパーT(Th)細胞の過剰な活性化により誘導されますが、炎症慢性化のメカニズムや再発時の免疫応答発動の端緒となる因子については明らかになっていません。組織常在性記憶T細胞は、末梢のバリア組織に動員された後、長期間にわたって炎症局所に滞在する細胞です。そのため、炎症の遷延化や慢性化との関連が示唆されますが、IBDの病態との関わりは解明されていませんでした。

クローン病患者さんで増加するタイプのT細胞を発見、炎症性・組織傷害性の性質をもつ

そこで研究グループは今回、外科的に切除されたクローン病、潰瘍性大腸炎、大腸がんの腸管検体を用いて、患者さんの大腸粘膜に含まれるT細胞を網羅的にプロファイリングしました。

その結果、クローン病患者さんの腸管で「CD4陽性の組織常在性記憶T細胞」が増加していることを発見。反対に、潰瘍性大腸炎では減少していることがわかりました。

さらに、クローン病患者さんで増加するこの組織常在性記憶T細胞は、炎症性・組織傷害性の性質をもつことも明らかになりました。

クローン病患者さんのうち、この細胞集団の割合が多い人と少ない人を比較したところ、多い人の方が手術直前の血清CRP値が高く、臨床の重症度を示すスコアも高いことがわかりました。

発見された組織常在性記憶T細胞のマーカーが、IBD治療標的となる可能性

今回の研究成果により、クローン病の病因となるT細胞が明らかになりました。同研究で明らかになった組織常在性記憶T細胞のマーカーは、今後IBDの治療標的として重要な候補因子となることが期待されます。

「本研究のIBDの病態に関する包括的な解析は、この疾患の根底にある分子メカニズムの解明への道を開くものであると考えられる」と、研究グループは述べています。

(IBDプラス編集部)

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