ビフィズス菌+アルギニン投与で、マウスの「認知的柔軟性」が向上

ニュース2023/8/21

  • Xでポストする
  • いいね!
  • LINEで送る
  • URLをコピー URL
    copied

ビフィズス菌+アルギニンが、マウスの空間学習記憶力を改善することが知られていた

協同乳業株式会社と早稲田大学の研究グループは、マウスにビフィズス菌とアルギニンを投与することにより、変化する環境に適応する能力である「認知的柔軟性」が向上することを明らかにしたと発表しました。

認知的柔軟性は、認知症やうつ病などの精神疾患では発症直前・初期段階に急激に低下することが知られ、認知症予防の指標となり得ると考えられます。一方、近年の研究で腸と脳はさまざまな影響を及ぼし合っていることが明らかなっています(腸脳相関)。

協同乳業が長年研究を進めてきた生理活性物質「ポリアミン」は、生物の全細胞に含まれ、健全な細胞の維持に不可欠な物質ですが、加齢に伴い脳を含むほぼ全ての臓器でその合成能が減少します。

一方で、以前からポリアミンの一種「スペルミジン」の経口投与が、ショウジョウバエとマウスの学習記憶力を改善することが報告されており、また研究グループも、ビフィズス菌LKM512とアルギニンの併用投与により、腸内細菌叢のポリアミン産生が促され、高齢マウスの空間学習記憶力が改善することを明らかにしていました。それらのことから、ポリアミンは認知機能と大きく関連するだけでなく、食事や腸内細菌叢から補うことが可能であると考えられます。

しかし、認知的柔軟性に対するこれらの併用投与の効果は未確認でした。そこで今回、ビフィズス菌とアルギニンの併用投与の認知的柔軟性への有効性を検証しました。

マウスの認知的柔軟性も向上すると判明、ヒト試験で認知症予防の社会実装目指す

具体的には、研究グループが認知的柔軟性を評価するために開発した「タッチスクリーン装置を用いた認知的柔軟性評価試験」を使って、腸管内でポリアミンを産生するビフィズス菌とアルギニンの併用投与がマウスの認知的柔軟性に及ぼす影響を調べました。

その結果、ビフィズス菌とアルギニンを投与したマウスは対照群と比較して、認知的柔軟性が向上することが明らかになりました。これは、プロバイオティクス、プレバイオティクス、シンバイオティクスなど、腸内細菌叢を制御するタイプの食品において、認知的柔軟性に及ぼす効果を実証した初の報告となります。

研究グループは、この成果をさらに発展させるため、ヒト応用試験とメカニズム解析研究を計画しているということで、「科学的エビデンスを有する新しい認知症予防戦略の社会実装を目指す」と、述べています。

(IBDプラス編集部)

この記事が役立つと思ったら、
みんなに教えよう!

会員限定の情報が手に入る、IBDプラスの会員になりませんか?

IBDプラス会員になるとこんな特典があります!

会員登録

  • 1. 最新のニュースやお得な情報が届く
  • 2. 会員限定記事が読める
  • 3. アンケート結果ダウンロード版がもらえる

新規会員登録(無料)

閉じる
レシピ特集
レシピ特集をみる