タクロリムスのジェネリック医薬品、先発品との違いはある?-日本医療薬学会レポート

ニュース2017/12/11

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ジェネリック医薬品は吸収速度や吸収率などが違うという報告も

現在、潰瘍性大腸炎では、ステロイドが十分に効果を発揮しない「ステロイド抵抗性」と称される患者さんに対して、臓器移植で用いられる免疫抑制薬のタクロリムスや生物学的製剤が使用されます。

このうちタクロリムスは、2009年7月に、難治性の潰瘍性大腸炎に対して適応が追加されましたが、2013年6月からジェネリック医薬品が登場し、現在7社からジェネリック医薬品が発売されています。タクロリムスは血中の濃度を測定して投与量を調節する必要がある薬剤ですが、ジェネリック医薬品では、薬剤の吸収速度や吸収率などといった薬物動態が違うという報告もあります。

北海道厚生連札幌厚生病院薬剤部の今由香莉氏は、潰瘍性大腸炎の患者さんで、タクロリムスの先発医薬品であるプログラフカプセルとジェネリック医薬品であるタクロリムスカプセル「ファイザー」の比較から、両者の薬の効き目と副作用などの服薬に伴う症状の発現は同程度であると、第27回日本医療薬学会で発表しました。ジェネリック医薬品では、必要な薬剤の血中濃度を維持するために投与量が多くなることもわかり、ジェネリック医薬品を使用する場合には、投与量の調整を慎重に行う必要があると述べています。

ジェネリック医薬品にも先発品と同等の症状改善効果

今氏らの研究では、先発医薬品群26例、ジェネリック医薬品群29例で比較を行っています。両群の間で性別比、平均年齢、体重、投与日数、投与開始時の臨床検査値などに差はありませんでした。

先発医薬品、ジェネリック医薬品それぞれの、投与開始から4週間後までの1日当たりの排便回数、炎症反応の程度を示すCRP値、血便を有する患者さんの割合を調べたところ、先発医薬品群、ジェネリック医薬品群とも、同様の改善効果が認められました。また、服薬に伴う副作用など重い症状による投与中止、それらの症状の発生する割合については、統計学的に検討しても両群で差は認められませんでした。このことから、先発医薬品群とジェネリック医薬品群で、薬の効き目と副作用などの服薬に伴う症状の発現は、同等と考えられました。

タクロリムスを繰り返し投与したときに、血中の薬物濃度が最も低くなる次の投与直前での血中薬物濃度の目標値(目標血中トラフ濃度:10~15ng/mL)に到達するまでの日数と投与量に関しても、両群問で差は認められませんでした。一方で、目標血中トラフ濃度の達成後に血中濃度を維持するための1日当たりの平均投与量は、投与1日目、投与2週間目、投与3~4週間目で、ジェネリック医薬品のほうが明らかに多いことがわかりました。

(村上和巳)

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