カルプロテクチン簡易診断薬の独占販売権で4社が契約
ニュース | 2018/1/10
潰瘍性大腸炎の重症度を、糞便中のカルプロテクチン濃度で評価
潰瘍性大腸炎の診断や経過観察では現在、問診と内視鏡検査の結果から重症度を診断しています。内視鏡検査は半日程度の時間がかかるうえ、体内に内視鏡を挿入することから、患者の身体的苦痛も少なくなく、経済的な負担も大きくなっています。
持田製薬株式会社と三洋化成工業株式会社、日水製薬株式会社、ブルマン・ラボラトリーズ(スイス)の4社は2017年12月4日、ブルマン社が開発したカルプロテクチン簡易診断薬について、日本における独占販売権に関する契約を締結したことを発表しました。
ヨーロッパでは広く使われている診断薬、日本での開発に期待
カルプロテクチンは、炎症性サイトカインに含まれる好中球や単球から分泌されるカルシウム結合タンパク質。炎症性腸疾患(IBD)の炎症の程度と、糞便中に排泄されたカルプロテクチンの濃度が相関することから、IBDの炎症活動マーカーとして注目されています。なお、カルプロテクチンを測定する体外診断用の医薬品では、2017年6月に保険適用となった「カルプロテクチン モチダ」(製造販売元:三洋化成工業、販売:持田製薬)がすでに存在しており、臨床検査会社で診断薬として用いられています。
今回、契約対象となったカルプロテクチン簡易診断薬は、イムノクロマト法という検査方法を採用。ヨーロッパでは広く用いられている診断薬で、ELISA法で測定する既存の「カルプロテクチン モチダ」とは測定方法に違いがあります。専用の測定用検査キットを用いることで、操作も簡便で短時間の測定が可能なうえ、測定装置もコンパクトであることから、医療機関で検査ができるようになると見込まれています。
日本で使用されるようになるのはまだ先ですが、開発が進み、実際に使用可能になれば、潰瘍性大腸炎の診断や、経過観察における検査の負担が軽くなることが期待されます。
(IBDプラス編集部)
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