腸間膜の脂肪が腸の炎症を起こす仕組みを解明
ニュース | 2018/3/16
脂肪細胞と腸の上皮細胞を一緒に培養すると炎症反応が
幹細胞や幹細胞から分化した細胞の塊で、小さな臓器とも呼ばれる「オルガノイド」。以前IBDプラスでは、東京大学医科学研究所と日本たばこ産業株式会社の共同研究チームが、オルガノイドの取り扱いを簡単にする方法を確立したというニュースをお伝えしました。同じ研究チームが今回、腸のオルガノイドを使って、腸間膜にある脂肪細胞が、腸管の上皮の炎症反応を直接誘導することを発見したと発表しました。
腸間膜とは、お腹の中で腸を包み込んでいる薄い膜のこと。クローン病患者の腸では、潰瘍ができた部分の近くで腸間膜にある脂肪組織が増えており、その脂肪組織で炎症反応が起こっていることが知られていました。しかしこれまで、この脂肪組織と腸の炎症との関係については詳しくわかっていませんでした。
脂肪の性質を変えるアプローチで、新たな治療法につながる可能性
共同研究チームは、腸のオルガノイドを使って、腸管の上皮細胞を再現。この細胞と、成熟した脂肪細胞を一緒に培養したところ、お互いの細胞で炎症を誘導する遺伝子が発現し、炎症を抑制するための遺伝子は発現しにくくなることが明らかになりました。さらにこの炎症反応が、遺伝子の転写を制御するタンパク質による情報伝達を介して起こっていることも突き止めました。
共同研究チームは、腸間膜の脂肪の性質を改善するようなアプローチが、新たなクローン病の治療法開発につながる可能性が示されたとしています。
(IBDプラス編集部)
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