IBD患者さんの「生物学的製剤の使用」に関するアンケート-結果発表

ニュース2024/9/13

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生物学的製剤の選択肢が増加、自己注射製剤は使っている?

IBD患者さんの治療に使用可能な生物学的製剤が年々増えています。以前はアダリムマブ(商品名:ヒュミラ)、インフリキシマブ(商品名:レミケード)の2種でしたが、現在は、ゴリムマブ(商品名:シンポニー)、ベドリズマブ(商品名:エンタイビオ)、ウステキヌマブ(商品名:ステラーラ)、ミリキズマブ(商品名:オンボー)、リサンキズマブ(商品名:スキリージ)、バイオシミラーがあり、在宅自己注射での投与が可能な生物学的製剤も登場しています。

患者さんのライフスタイルに合った剤形を選択しやすくなってきている一方で、自己注射製剤の場合、「冷蔵庫で保管しないといけない」「うまく打てない」「針の処分が面倒」など患者さん側に生じる課題もあります。そこで今回IBDプラス編集部では、主に生物学的製剤の使用経験がある方を対象に、使用実態やお悩みなどについてアンケート調査を行いました。ご回答いただきました皆さま、ありがとうございました。
結果の一部をご紹介します。

■生物学的製剤とは? 記事はこちら

潰瘍性大腸炎

潰瘍性大腸炎(以下、UC)の回答者は287人、そのうち、生物学的製剤の使用経験がある方は74.4%(213人)、さらにその中で、現在自己注射製剤を使用している方は23.5%(50人)でした。

UC患者さんの結果

クローン病

クローン病(以下、CD)の回答者は186人で、そのうち、生物学的製剤の使用経験がある方は96.3%(179人)、さらにその中で、現在自己注射製剤を使用している方は33.0%(59人)でした。

CD患者さんの結果

生物学的製剤の使用経験者のうち、UCは約4人に1人、CDは約3人に1人が現在自己注射製剤を使用していることがわかりました。

自己注射製剤を現在使用していると答えた方(UC/CD合計109人)を詳しくみてみると、70%(77人)は就労している人で、指定難病の医療費等助成を94.5%(103人)が受けていました。

また、使用のきっかけとしては、「医師の勧め」(UC66.0%・33人、CD69.5%・41人)のほか、「通院時間の制約がないから」(UC30.0%・15人、CD47.5%・28人)、「自分でもできそうと思えたから」(UC36.0%・18人、CD40.7%・24人)、「点滴投与だと病院滞在時間が長くなるから」(UC20.0%・10人、CD32.2%・19人)などが挙がりました。

自己注射製剤について思うこと、最多は「常温保存希望」

UC/CD患者さんの結果

自己注射製剤を現在使用していると答えた方(109人)に、使用に際して感じていることは何か(複数回答)を尋ねたところ、「常温保存できるようになってほしい」が最多で、「廃棄が手間」「打ち忘れてしまうことが不安」「自己注射後の体調の変化の時にすぐに相談できる医療者がいてほしい」と続きました。

現在、生物学的製剤の自己注射製剤は冷蔵保存することが必須となっているため、旅行などに持っていくことが容易ではなく、また、停電などの不測の事態も起こり得る可能性があることなどが背景にあると考えられました。

医師とのコミュニケーションは良好で納得、一方で治療継続の意思は?

UC/CD患者さんの結果2

また、自己注射製剤を使用する状況について、3つのことを尋ねました。「自己注射製剤の使用において、医師と十分にコミュニケーションをとり、納得したうえで治療を選択できているか」「自己注射製剤の治療に満足しているか」「自己注射製剤の治療を継続したいか」を5段階であてはまるものを答えていただきました。

その結果、UC、CDともに、「医師と十分にコミュニケーションをとり、納得したうえで治療を選択できているか」では5(とてもそう思う)または4を選んだ人が多くいました。一方、自己注射製剤の治療継続の意思については、一部の患者さんでは2や1(まったくそう思わない)を選ぶ人がいました。

現在使用していない理由に「自分で体に注射針を刺すのが怖い」「効果があまりなかった」など

生物学的製剤の使用経験者で、現在自己注射製剤を使っていない方は283人でしたが、使用していない理由を尋ねたところ、UC、CDともに、「医師から勧められたことがないから」が最多(UC41.1%・67人、CD36.7%・44人)でした。次に多かったのが「自分で体に注射針を刺すのが怖いから」(UC28.0%・21人、CD11.7%・14人)、3番目は「効果があまりなかった」が(UC9.8%・13人、CD9.2%・11人)でした。

今回初めてIBDプラスとして生物学的製剤に着目したアンケート調査を行いました。意外と思った回答、「そうそう」と思わずうなずく回答はありましたか? IBDプラスでは、2年ぶりの「IBD白書」の調査も近い将来(?)行う予定ですので、よろしくお願いいたします。

(IBDプラス編集部)


【調査概要】
  • 目的:潰瘍性大腸炎およびクローン病患者の生物学的製剤の使用実態把握
  • 対象:潰瘍性大腸炎およびクローン病患者本人
  • 方法:インターネット調査
  • 期間:2024年7月12日~7月23日
  • 実施者:株式会社QLife IBDプラス編集部

  • 【回答者の背景】
  • 回答数:479人 (有効回答473)
  • 潰瘍性大腸炎:287人(男性104人、女性183人)
  • クローン病:186人(男性87人、女性98人、答えたくない1)
  • 年代:19歳以下7.8%、20代12.2%、30代17.8%、40代25.4%、50代24.7%、60代11.0%、70代0.6%、80歳以上0.4%
  • 居住地(上位5都県):東京都69人、千葉県33人、大阪府32人、神奈川県32人、埼玉県31人
  • 就労状況:就労している(フルタイム)50.7%、就労している(パート・アルバイト・時短勤務)20.7%、就労していない(休職中を含む)28.5%
  • 医療費助成:指定難病の医療費助成を現在受けている86.7%
  • 通院先:IBD専門外来のある病院・クリニック40.4%、消化器内科または消化器外科のある病院・クリニック55.2%
  • 現在の重症度:寛解25.4%、軽症22.4%、中等症39.7%、重症4.9%、わからない7.6%
  • 過去一番の重症度:軽症3.6%、中等症42.1%、重症36.8%、劇症37人7.8%、わからない9.7%

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