IBDやアトピー性皮膚炎の発症に関わる「生体バリア」の新たな仕組みが明らかに
ニュース | 2019/9/13
「生体バリア」が破綻すると、さまざまな疾患が起こる
生理学研究所を中心とした研究グループは、生体バリアの形成に「JAM-A」と呼ばれるタンパク質が必要だということを、新たに発見しました。
ヒトの体の表面は「細胞のシート」で覆われており、このシートは体の内部を外の環境から保護するバリアとして働いています。生体バリアは身体の生理的状態を維持するために不可欠であり、その破綻は炎症性腸疾患(IBD)やアトピー性皮膚炎など、さまざまな疾患の発症に関与すると考えられています。
生体バリアを作るには、体の表面を覆う細胞同士の隙間を塞ぎ、さまざまな物質が漏れるのを防ぐ必要があります。「タイトジャンクション」は、このようなバリアを作るのに欠かせない接着装置であり、隣り合う細胞をくっつけて、細胞同士の隙間から物質が漏れるのを防いでいます。これまでの研究から、タイトジャンクションにはクローディンという膜タンパク質が存在し、これがバリアを作るためにとても重要であることが知られています。一方、タイトジャンクションにはクローディン以外にも「JAM-A」など、いくつかの膜タンパク質が存在しますが、それらが生体バリアの形成にどのような役割を果たしているのかは、わかっていませんでした。
生体バリアの新たな構造が判明、引き続き病気との関係を調査する予定
研究グループがさまざまな手法で調べた結果、JAM-Aは大きな物質に対するバリアの形成に重要であることが判明しました。今回の発見により、タイトジャンクションは、クローディンによる「イオンのような小さな物質も通さない強固なバリア」と、JAM-Aによる「タンパク質などの大きな物質を通さない比較的ゆるいバリア」という、2つの異なるバリアの組み合わせによって構成されていることが明らかになりました。
研究グループは、「今後、このバリアが実際に体のどのような器官で働いているのか、病態とどのように関係するか調べていきたい」と、述べています。
(IBDプラス編集部)
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