IBDの試験も進行中のウパダシチニブ、活動期乾癬対象の試験で有効性と安全性を確認
ニュース | 2019/11/20
炎症物質が作られる前にブロックする「JAK阻害薬」
アッヴィ合同会社は、1種類以上の生物学的製剤で十分な効果が認められなかった活動性関節症性乾癬の成人患者さんを対象に、ウパダシチニブの安全性と有効性を評価する「SELECT-PsA2第3相試験」の結果を発表しました。
ウパダシチニブは、免疫細胞のヤヌスキナーゼ(JAK)という酵素の働きを選択的・可逆的にブロックし、炎症の原因となる免疫物質「サイトカイン」が作られるのを抑えるJAK阻害薬。現在、炎症性疾患など複数の免疫関連疾患を対象に試験が行われています。2019年に中等度~重度の活動性関節リウマチの成人患者さんを対象に米国食品医薬品局の承認を受け、また、欧州連合のヒト用医薬品委員会から承認勧告を受領し、欧州委員会による最終承認待ちとなっています。
1日1回投与の治療法として、関節症性乾癬だけでなく、潰瘍性大腸炎(UC)、クローン病(CD)、アトピー性皮膚炎、巨細胞性動脈炎を対象とする第3相試験が進行中です。また、強直性脊椎炎の治療薬としての研究も進められています。
症状の20%/50%改善率はプラセボより高く、安全性も確認
今回の試験で12週時の※ACR20達成率(ACR20を達成した患者さんの割合)は、プラセボのグループで24%だったのに対し、ウパダシチニブ15mgと30mgの投与を受けたグループでは、それぞれ57%および64%でした。また、12週時のACR50達成率は、プラセボのグループで5%だったのに対し、ウパダシチニブ15mgと30mgの投与を受けたグループでは、それぞれ32%および38%でした。同時点でのACR70達成率は、プラセボのグループで0.5%だったのに対し、ウパダシチニブ15mgと30mgの投与を受けたグループでは、それぞれ9%と17%でした。
さらに、ウパダシチニブの投与を受けた患者さんでは、健康評価質問票の皮膚症状や乾癬の面積に改善が認められました。なお、有害事象も、過去にさまざまな適応症を対象に実施した試験の結果と同様で、安全性に関する新たなリスクはみられなかったということです。
今回の結果に続き、進行中のUC・CD試験でも良い結果が出ることを期待します。
※ACR20達成:関節リウマチの臨床試験で用いられる有効性基準。腫脹・圧痛関節数が20%以上改善し、複数の項目で20%以上の改善を満たした状態
(IBDプラス編集部)
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