ステロネマ、リンデロン（一般名：ベタメタゾン）

潰瘍性大腸炎は、大腸に炎症を起こす病気です。慢性に推移し、ときに重症化します。直腸など大腸の一部または大腸全体の粘膜層に潰瘍やびらんを生じ、活動期にはひどい下痢、腹痛や血便を起こします。このお薬の有効成分ベタメタゾンはステロイドの一種で、炎症を抑える強い作用があり、炎症がおさまれば、諸症状も改善していきます。

監修者：薬剤師　小坂信夫

効能・効果

潰瘍性大腸炎の局所療法として用いられ、肛門寄りの大腸（直腸～S状結腸）の炎症をしずめるのに有用です。なお、リンデロン坐剤は潰瘍性大腸炎の直腸炎型に用いられます。素早い効果が期待できるうえ、全身的な副作用も比較的少なめです。

ステロネマ、リンデロンについて

ステロネマは、ベタメタゾンリン酸エステルナトリウムを成分とする注腸剤です。リンデロンは、ベタメタゾンを成分とする錠剤、散剤、シロップ剤および坐剤で、潰瘍性大腸炎では坐剤が用いられます。

使用上の注意

• 医師・薬剤師から正しい使用方法の説明を受けてください。また、使用する際には説明書に従ってください。
• 自分の判断で投与を中止しないでください。
• 発熱やかぜ症状を含め、この薬を服用中にいつもと違う症状があらわれたら、すぐに受診してください。
• 大けが、手術、予防接種、皮内反応テストをするときには、この薬を使用していることを報告してください。

併用禁忌・併用注意

以下のような薬と併用する際には、医師・薬剤師にご相談ください。

• 抗けいれん薬のフェノバルビタールやフェニトイン
• 結核の薬のリファンピシン
• 抗凝血薬のワルファリン
• アスピリンなどサリチル酸誘導体
• 糖尿病の薬
• 利尿薬など
• 長期もしくは大量服用中あるいは中止後6か月以内の人は「生ワクチン」の接種を控えてください。

用法・用量

【ステロネマ注腸3mg】
通常、成人で1回1～2個（ベタメタゾンとして3～6mg）を直腸内に注入します。なお、年齢や症状により適宜増減します。

【ステロネマ注腸1.5mg】
通常、成人で1回1～2個（ベタメタゾンとして1.5～3.0mg）を直腸内に注入します。年齢や症状により適宜増減します。

【リンデロン坐剤0.5mg/1mg】
通常、1日初期投与量0.5～2.0mgを1～2回に分けて直腸内に挿入します。以後、症状をみながら漸減しますが、症状により適宜増減することもあります。

副作用

主な副作用には、いらいら感、不眠、消化不良、下痢､吐き気、にきび、むくみ、生理不順、脂肪の異常沈着（ムーンフェイス、肩やおなかが太る）などがあります。下記に［　］で示した疾患を引き起こす可能性があります。体調の変化を感じた場合はすぐに医療機関を受診してください。

• 発熱、倦怠感、のどの痛み、咳や痰、息苦しい、嘔吐、下痢、皮膚がピリピリ痛い、皮膚の発赤・水ぶくれ・できもの［重い感染症］
• 倦怠感、吐き気、下痢、のどが渇く、水をがぶ飲み、多尿、食欲増進、太る［副腎不全、糖尿病］
• 胃痛、腹痛、吐き気、嘔吐、吐血（コーヒー色のものを吐く）、下血（血液便、黒いタール状の便）［消化管潰瘍・胃腸出血］
• 吐き気、吐く、上腹部～背中の激しい痛み［膵炎］
• 憂うつ、気分がひどく落ち込む、やる気がでない、悲観的、不安感、不眠［抑うつ］
• 骨がもろくなる、背中や足腰の痛み、骨折［骨粗鬆症］
• 見えにくい、かすんで見える、まぶしい、視力低下、目の痛み、頭痛、吐き気［目の重い症状（緑内障、白内障など）］
• 骨がもろくなる、背中や足腰の痛み、骨折［骨粗鬆症］
• 手足特にふくらはぎの痛み・はれ・むくみ・しびれ、突然の息切れ・息苦しい、深呼吸で胸が痛い、急に視力が落ちる、視野が欠ける、目の痛み、頭痛、片側のまひ、うまく話せない、意識が薄れる［血栓症］