「難消化性デキストリン」が腸内環境に与える影響、日本人での定量評価結果を発表
難消化性デキストリンが腸内環境・耐糖能に与える影響は?
株式会社メタジェン、松谷化学工業株式会社らの共同研究グループは、「難消化性デキストリン」が、腸内環境に与える影響を評価した結果を発表しました。
難消化性デキストリンは、とうもろこしのでんぷんを原料に作られる水溶性食物繊維で、腸内細菌が利用できるプレバイオティクス素材として注目されています。近年の報告で、難消化性デキストリンには、免疫を活発にする「免疫賦活」作用や、血液中の血糖値が高くなったときに正常値まで下げる「耐糖能」改善効果などが報告されています。
一方で、プレバイオティクスのヒトへの影響は、個々人の腸内細菌叢のバランスによって異なることも報告されています。
そこで研究グループは今回、難消化性デキストリンが腸内環境および耐糖能に与える影響を定量的に評価することを目的に、研究を実施しました。
難消化性デキストリンの摂取で有益な腸内細菌が増加、有害な代謝物質が減少
まず、高血糖の日本人成人29人を無作為に2群に分け、24週に渡って試験品(難消化性デキストリン)あるいはプラセボ(通常のデキストリン)を摂取してもらいました。これらの摂取前後で便の採取や採血等を行い、腸内細菌叢や腸内代謝物質の解析を行いました。
その結果、ヒトの有用菌として報告されているBifidobacterium(ビフィズス菌)や、炎症抑制効果が報告されているFusicatenibacter(フシカテニバクター)などの細菌が、難消化性デキストリン摂取群の摂取前後で増加しており、これらの変動はプラセボ群と比べても有意差が認められたということです。
また、難消化性デキストリン摂取前後で、二次胆汁酸の一種「デオキシコール酸」が有意に減少していました。さらに、2型糖尿病に関連することが報告されている「イミダゾールプロピオン酸」や動脈硬化に関連することが報告されている「トリメチルアミン」などの疾患関連代謝物質が、難消化性デキストリン摂取前に、これらの代謝物質が元々腸内に多い人で有意に減少することも明らかとなりました。
これらの結果から、難消化性デキストリン摂取による腸内環境への影響が定量的に評価され、難消化性デキストリンの機能の一部が明らかになりました。
難消化性デキストリンが腸内環境に与える有益な効果は、個人の腸内環境に依存
今回の研究成果により、難消化性デキストリンがもたらすヒト腸内環境に与える影響と、それらが個人の腸内環境に依存することが明らかにされました。今後、同研究をさらに進めることで、腸内環境の制御を介した高血糖や動脈硬化の予防・治療法の開発が期待されます。
「腸内環境の個人差に着目した研究データが蓄積されることで、腸内環境パターンの層別化に基づいて健康を促進する商品開発につながることが期待されます」と、研究グループは述べています。
(IBDプラス編集部)
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