「ヒト腸オルガノイド」の効率的な作製法を開発、消化管再生医療への貢献に期待

ニュース2022/12/7

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「短腸症候群」の治療法として、小腸移植に替わる手段が求められていた

東京医科歯科大学の研究グループは、特殊なプレートを利用することで、iPS細胞から浮遊状態で自律的に融合する「ヒト腸オルガノイド」を作出することに成功したと発表しました。

炎症性腸疾患(IBD)や小児の先天性疾患などで、広範な腸管切除を余儀なくされるケースでは、「短腸症候群」と呼ばれる腸機能の欠損で生活の質(QOL)が著しく害されることがあります。しかし、根本的治療である「小腸移植」はドナー不足や移植後の拒否反応などから、広く行われる治療とはなっていません。

これに替わる手段として、iPS細胞など多能性幹細胞から体外で臓器を作出する試みに期待が寄せられてきました。iPS細胞からヒト腸オルガノイドを作製する方法は報告されていましたが、手法が煩雑なため慣れが必要で、大型のオルガノイドを作出するのも困難でした。

浮遊状態のままiPS細胞から腸スフェロイドを誘導するところがポイント

そこで研究グループは既存の手法を改良し、特殊なプレート上に誘導細胞を播種した(蒔いた)ところ、浮遊状態のまま自律的に融合し、球状の腸スフェロイド(細胞の塊)が誘導されることを見出しました。

また、プレートの形状や播種する細胞数を変えることで任意のサイズのスフェロイドを作製でき、浮遊状態のまま生育させることが可能であることもわかりました。そして実際に、大型の浮遊スフェロイドを効率的に育てて腸オルガノイドへと成熟させることに成功。加えて、培養した浮遊腸オルガノイドを免疫不全マウスの腸間膜へと移植することで、「成熟したヒト腸組織」を構築し得ることも証明されたとしています。

今回開発された手法により、「消化管再生医療」が加速することが期待されます。

(IBDプラス編集部)

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