IBDなど自己免疫疾患の治療法開発につながる酵素5つと脂質を発見

ニュース2023/8/16

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IBD発症に関わる「Th17細胞」を増加させる脂質は?

かずさDNA研究所、東京大学、千葉大学の研究グループは、自己免疫疾患を引き起こす病原性「ヘルパーT17細胞(Th17細胞)」の制御に関わる5つの脂質代謝酵素や機能性脂質を明らかにしたと発表しました。

自己免疫疾患は、異物を排除する役割の免疫システムが自分自身の正常な細胞や組織に対して過剰に反応し、症状を起こす疾患です。近年、この免疫システムが「脂質の代謝」と密接に関係していることがわかってきました。

例えば、肥満になると「Th17細胞」という白血球の一種が増加し、炎症性腸疾患(IBD)や関節リウマチなどの自己免疫疾患が引き起こされます。これまでの研究で、Th17細胞は脂質代謝によってコントロールされることがわかってきましたが、具体的にどのような脂質がTh17細胞を増加させるのかは不明でした。

Th17細胞を増やす5つの脂質代謝酵素と1つの脂質を特定

そこで研究グループは、最先端の技術を駆使してTh17細胞の脂質代謝を詳細に解析し、Th17細胞を増加させる5つの脂質代謝酵素を発見しました。

さらに、Th17細胞とその病原性を増加させる機能性脂質「1-オレオイル-リゾホスファチジルエタノールアミン(LPE [1-18:1])」を発見。

このLPE [1-18:1]は、Th17細胞で遺伝子の発現を制御する主要なタンパク質と複合体を作り、Th17細胞の増加に関わっている可能性があるということです。

Th17細胞を利用した自己免疫性炎症疾患の診断マーカーや治療法開発に期待

今回の研究成果により、Th17細胞を利用した自己免疫性炎症疾患の診断マーカーや治療法の開発、さらに脂質代謝経路を創薬のターゲットとすることで、メタボリックシンドロームの克服にも貢献することが期待されます。

研究グループは「LPE [1-18:1]について、今後臨床医と連携してさらに研究を進め、疾患治療や検査へと役立てていく。脂質免疫研究を発展させていくことで、将来的には自己免疫疾患や肥満症だけでなく、アレルギーや感染症に対しても食習慣と免疫の観点から克服し、健康寿命の増進へとつなげていきたい」と、述べています。

(IBDプラス編集部)

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