IBD新規治療につながる「時計遺伝子」同定、狙い撃ちで大腸炎マウスの症状軽減
ニュース | 2024/6/3
体内リズムの適正化がIBD改善に有効な可能性を示唆
山口大学の研究グループは、マクロファージにおいて生体の体内リズムに関連する時計遺伝子「E4BP4」が、大腸炎の病態改善に貢献することを明らかにしたと発表しました。
IBDの発症や進行には遺伝的素因や食事やストレスなどの環境因子が複合的に関与することがわかっていますが、特定の原因は明らかになっていません。現在、治療は主に5アミノサリチル酸製剤・ステロイド剤・免疫抑制剤などの内科的治療や、生物学的製剤により行われ、必要に応じて外科的処置が適応になることもありますが、根治療法には至っていません。
一方、地球上のあらゆる生物に備わっている体内リズムは「時計遺伝子」によって調律されています。体内リズムが乱れるとマクロファージなどの免疫細胞が異常に活性化され、IBDを引き起こすと考えられています。
「E4BP4」はこれまでの研究で、数ある時計遺伝子の中でも免疫系と密接な結びつきがあることが示唆されていましたが、マクロファージでの具体的な役割は明らかにされていませんでした。今回、研究グループが大腸炎を誘発したマウスのマクロファージでE4BP4の発現を高めたところ、マウスの大腸炎の重症度を低下することが判明しました。
これらの結果は、体内リズムの適正化が大腸炎の改善につながる可能性を示唆しています。また、本研究成果がE4BP4をターゲットとした新しいIBD治療薬の開発に貢献することが期待される、と研究グループは述べています。
(IBDプラス編集部)
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