「慢性不眠」が潰瘍性大腸炎を悪化させる可能性、アンケートで判明
ニュース | 2024/8/20
IBDの症状増悪に精神的ストレスや不眠が関係するかは「未確認」だった
東北大学の研究グループは、「慢性不眠」が炎症性腸疾患(IBD)を悪化させる可能性を明らかにしたと発表しました。
IBDの症状が増悪する原因はこれまで明らかにされていません。精神的ストレスや不眠などがその一因と考えられていますが、その確認はできていませんでした。
慢性不眠を有する潰瘍性患者群は治療強化が必要な割合「高」、クローン病は変化なし
研究グループは今回、IBDで通院中の患者さんを対象に睡眠に関するアンケート調査を行い、慢性的な不眠状態を有する群と有しない群に分け、その後のIBDの病状がどう変化するかを経過観察しました。
その結果、慢性的な不眠を有する群は、有しない群に比べ、治療法の変更・強化を必要とした割合が高いことが判明(不眠群23.3%、非不眠群 8.9%、P=0.0033)。さらに、IBDの中でも特に潰瘍性大腸炎の患者さんで、慢性的な不眠を有する群は有しない群に比べ、治療変更・強化を要した割合が高いことがわかったということです(不眠群34.5%、非不眠群10.3%、P=0.031)。
一方、クローン病の患者さんでは慢性不眠の有無で治療内容の変更・強化を必要とした割合は変わらなかったとしています。
不眠治療に「腸炎の増悪抑制効果」があるか調査予定
今回の結果から、慢性的な不眠が潰瘍性大腸炎の病状悪化が悪化する要因の一つになり得る可能性が示唆されました。研究グループは、同アンケート調査をさらに拡大し、より多くの患者さんを対象に同様の検討を行う予定で、不眠に対する治療が腸炎の増悪を抑制する効果があるのか調査するということです。
「慢性不眠を有する潰瘍性大腸炎患者さんに不眠治療を行うことで、腸炎悪化の危険性を低下させられることが期待される」と、研究グループは述べています。
(IBDプラス編集部)
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