【開催レポート】世界IBDデー メディアセミナー「炎症性腸疾患(IBD)患者さんの治療と仕事の両立を目指し職場での理解や支援を求める」 5月14日

ニュース2024/5/17

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今も病気が「重し」となって仕事を続けられない人は少なくない

ヤンセンファーマ株式会社は5月14日、世界IBDデー メディアセミナー「炎症性腸疾患(IBD)患者さんの治療と仕事の両立を目指し職場での理解や支援を求める」を開催。北里大学北里研究所病院 炎症性腸疾患先進治療センター(IBDセンター)センター長の小林 拓先生、NPO法人 IBDネットワーク 就労特任理事の仲島雄大さん、ヤンセンファーマ株式会社 メディカルアフェアーズ本部の村﨑仁美さんが登壇されました。

小林先生は「IBD患者さんの多くが腹痛、下痢、血便、便意切迫に悩まされているためトイレの回数が増えるが、何度もトイレに行くことを他人に伝えるのは、言いづらく、とてもつらいことだ」との見方を示しました。治療の進歩で寛解期ではそこまで制限する必要はなくなってきているものの、まだまだ課題は多く残されているとして、実際の事例を複数紹介されました。その一部をご紹介します。

★20代・潰瘍性大腸炎の新入社員の男性

就職直後に発症したため会社に病気のことを伝えられなかった。そのため仕事を休めず通院が不定期になり、薬が足りなくなっても放置して仕事をしていた。結果、3か月後に悪化して入院してしまった。

★40代・長期クローン病の家事手伝いの男性

入退院を繰り返していたため両親と同居し、就職をせず家事を少し手伝う程度。母が作った料理以外はほとんど口にすることがなく、それも結果として就労に響いてしまった。家族の心的不安も多い。

小林先生は「難病であっても問題なく仕事を続けている方がいる一方、事例のように病気が重しとなって仕事が続けられない方もおり、その比率は3:7と言われている。昔に比べるとかなり改善されてきてはいるが、患者さんがより良い人生を送るためには私たち医療者のサポートだけではなく社会の協力が欠かせない」と述べ、講演を締めくくりました。

IBDという病気の人だからと構えないでほしい

次に、仲島さんが潰瘍性大腸炎の一患者さんとしてお話しをされました。まず、ご自身の「発症から診断、そして再び働くまでの気持ちの変化」をグラフで提示。潰瘍性大腸炎32年、明るくキビキビとお話しされ、難病患者というと驚かれるという仲島さんですが、最近になってようやく病気を受け入れられるようになってきたそうです。特にIBDは見た目ではわからないため、体調も気持ちも不安定だった時期に、なかなか理解されなかったのだとか。最初は仕事のプレッシャーとストレスで体調を崩して病院を受診しましたが当時は診断がつかず、胃腸薬を飲んでも改善しない日が続き、トイレの心配ばかりする毎日だったそうです。その後、ようやく潰瘍性大腸炎の診断がつきますが、現在に至るまでには、退職や転職先が合わず再び転職を経験するなど、つらい時期もあったそうです。その際、会社に病気の開示をするべきか否か正解がわからず苦悩したそうです。「今は、多様性という言葉が当たり前になりつつあるが、まだまだ患者さんたちは病気の開示に不安を感じている」と述べました。

長年患者さんたちの就労サポートにあたってきた仲島さんですが、職場の環境、特に配慮が重要だと感じているそうです。そのためにも、「どのような配慮事項が必要か、当事者がわかりやすく伝えることがスタート」だとのこと。しかし、休みの取りやすさや労働環境は患者さんだけではどうにもできません。仲島さんは理解して欲しいこととして「同じ病気でも症状が人それぞれ違うということを、もっと広く理解して欲しい」と述べました。さらに、「企業の方々も病気だからとあまり構えないで欲しい」とも述べました。患者会の代表でもある仲島さんが最後に患者会を「生きることをサポートできる場所」とおっしゃっていたのがとても印象的でした。

治療と仕事の両立、軽症以下が「7割以上」なのに対し中等症以上は「約半数」

最後に、ヤンセンファーマ株式会社 メディカルアフェアーズ本部の村﨑さんが「IBD患者さんの就労に関する課題」をテーマとした調査結果を発表されました。

村﨑さんによると、就職・転職活動中にIBDを発症していた患者さんのうち、半数以上が「就職・転職活動に苦労した経験がある」と回答し、3人に1人は「体調を崩し、就職・転職が出来なかった」ことが判明。そして、全体の3人に1人が、症状の再燃(悪化)により「急な欠勤」を経験したと回答し、中等症以上の患者さんのうち3人に2人が症状の再燃中に、月1回程度またはそれ以上の頻度で、「仕事の約束や会議などをキャンセルまたは変更」していることも明らかになったということです。

また、治療と仕事の両立については、軽症以下の患者さんの7割以上(74.1%)ができていると回答したのに対し、中等症以上の患者さんでは約半数(53.1%)に留まっていました。

一方で、IBDについて職場の誰かに伝えてはいるものの、直属の上司に伝えている人は「43.5%」と全回答者の半数以下にとどまりました。さらに、自分らしく働くために必要なこととして、全回答者の約半数が「周囲(職場・社会)の理解」、約4割が「行政による支援」と回答していたということです。

新しい薬が次々と登場し、IBDを診ることのできる医師も増え、確実に進歩を遂げているIBD診療ですが、患者さんの就労状況にはまだまだ多くの課題が残されていることが、小林先生の医師としての視点、仲島さんの生の声、そしてヤンセンファーマのアンケート調査の数字から伝わってきました。

IBDプラスも「伝える」というアクションを通して、IBD患者さんたちの力になれるよう頑張っていこうと改めて思いました。

(IBDプラス編集部)

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