腸内細菌に対する炎症を引き起こす物質が発現するメカニズムを解明
炎症性サイトカイン「インターフェロン(IFN)-γ」が誘導
たくさんの腸内細菌が住んでいる大腸。白血球の一種で細菌などの異物を捕食する「マクロファージ」も、大腸ではほかの組織とは働きが異なり、異物を排除する働きが強くなりすぎないようにコントロールされています。炎症性腸疾患(IBD)を発症すると、この大腸のマクロファージの働きが強くなり、腸内細菌に対して炎症を引き起こす物質「TBF-α」と「iNOS」を発現するようになります。しかし、なぜこれらの物質を発現するようになるのかは、わかっていませんでした。
東京医科歯科大学の研究グループは、炎症性サイトカインの一種「インターフェロン(IFN)-γ」が、大腸マクロファージに働きかけてその性質を変化させ、「TBF-α」や「iNOS」を発現させるようになるメカニズムを明らかにしたと発表しました。
IFN-γの受容体を介した信号伝達が炎症を引き起こす
研究グループはまず、「TBF-α」や「iNOS」を発現する細胞の集団を詳しく調べました。すると、これらの炎症を引き起こす物質を含む細胞集団は、炎症性マクロファージになる前の段階である「炎症性単球」や炎症性マクロファージばかりで構成されていました。そこで、炎症性の単球やマクロファージがどのように誘導されるのかを調べたところ、IFN-γの受容体がないマウスや、IFN-γの受容体からの信号を伝えられないマウスでは、炎症性の単球やマクロファージの誘導が少なくなっていました。このことから、IFN-γの受容体を経由した信号の伝達が、炎症性マクロファージを誘導するうえで重要であることがわかりました。
この研究によって腸内に炎症を引き起こすメカニズムが明らかになり、IBDの新しい治療法開発につながることが期待されます。
(IBDプラス編集部)
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