IBDから生じる大腸がんと通常の大腸がん、発生メカニズムに違い

ニュース2018/1/31

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90例のDNAとRNAを解析

潰瘍性大腸炎やクローン病など炎症性腸疾患(IBD)の方は、腸の粘膜の炎症状態が長期間続くことから、がんを発症するリスクが高くなるといわれています。一般的な大腸がんが発生するメカニズムはすでに詳しく解明されていますが、IBDが原因となって発生するがんでは、そのメカニズムは当てはまらないと考えられています。

理化学研究所と兵庫医科大学の研究グループは、IBD患者に発生したがんのゲノムを解析し、IBDから生じるがんのメカニズムを解明したと発表しました。解析したのは、兵庫医科大学病院のIBD患者に発生した大腸がん90例で、潰瘍性大腸炎58例、クローン病32例。手術で切除した大腸がんの標本から、DNAとRNAを取り出して解析しました。

検出される遺伝子変異に違い

その結果、一般的な大腸がんで多く見られる「APC遺伝子」の変異が、IBDから発生した大腸がんでは少なく、代わりに「TP53遺伝子」や「RNF43遺伝子」の変異が多く検出されました。これは、IBDから発生したがんが一般的な大腸がんとは異なるメカニズムで発生していることを示しています。特に「RNF遺伝子」の変異は、一般的な大腸がんでは検出されることが少なく、IBDからがんが発生する過程でこの遺伝子が重要な役割を果たしている可能性があります。

IBDから発生したがんと一般的な大腸がんでは、がんの発生にいたる経路が異なることが明らかとなり、今後はこうした遺伝子変異の情報から、一人ひとりの患者に適した治療方針を決定するようになっていくことが期待されます。

(IBDプラス編集部)

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