【開催レポート】武田薬品工業「In Their Shoes」プログラム 3月28日

関東のイベント2020/12/21 更新

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医療系の学生さんたちは、IBDという病気をどのようにとらえたのか?

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2020年3月28日、武田薬品工業株式会社は炎症性腸疾患(IBD)の患者さんの生活を体験するプログラム「In Their Shoes」を、医療系の学生さん27人を対象に実施。さらに新型コロナウイルス感染症の影響で、同プログラムに付随するイベントには、講師の先生を含め、全員がオンラインで参加。今回、IBDプラス編集部もオンラインで参加しました!

まず初めに、武田薬品工業ジャパン・メディカル・オフィス メディカルエキスパート岩切龍一氏(消化器内科医師)が、IBDの基礎知識について解説。内視鏡写真を示しながら丁寧に症状の説明をしてくれました。さらに、腹痛や下痢といったIBDの症状が、仕事や学業に支障をきたすことを繰り返し訴えたうえで、IBD患者さんたちの苦悩について次のように語りました。「寛解と再燃を繰り返すので、昨日まで元気だったのに、翌日は動けないくらい状態が悪くなるということが普通に起こる。しかし、症状の変化が見えづらい分、周囲の理解を得るのが非常に難しい」

岩切先生がおっしゃった「IBDの症状は見えづらい分、理解されにくい」というのはまさにその通りですよね。こうした専門家や、正しい情報源が、IBDを知らない人たちに「病状が急変する病気である」ということを伝え、認知を広げるだけでも、多くの人たちが救われるのではないかと感じました。

次に行われた「チーム医療ワークショップ」では、参加者の医学生・森本健太さん進行のもと、学生さんたちが「医師、栄養士、薬剤師の1日のスケジュールを見て、これらの職に就く人がIBDになったらどのような困難が生じるか」について、議論しました。

院内薬局に勤務する、2人の子どもをもつ女性薬剤師さんを想定した場合では、「ただでさえ、家事育児のストレスがあるのに、IBDの症状を常に気にしなければならないので精神的ストレスがたまりそう」「顧客対応中のトイレや冷や汗などで、お客さんも驚くし自分もつらい」などの意見が出ました。

また、早朝に出勤しなければならない栄養士さんの場合では、「電車の本数が少ない時間帯なので、トイレで途中下車すると次が来なくて困りそう」「揚げ物などの調理中に離れてトイレに行くのは難しそう」などの意見があがり、一部解決策として「複数人が担当するポジションにしてもらう」「検食(給食や弁当など、不特定多数に提供する食事で衛生検査用に行う試食)は、和食の担当にしてもらう」などが出ました。

将来、自身が同じ職に就く人たちのスケジュールを想定することで「自分ごと化」でき、そこにIBDの症状が加わることの大変さを、リアルに想像しやすくなったのではないかと思いました。これは、企業などでIBDの説明をする際にもよい方法だと感じました。

最後に行われたレシピワークショップでは、「IBDデー」に向けた「IBDreamめし」のレシピづくりが行われました。ここには、IBD食の「まんぞく君」でおなじみ、エームサービス株式会社の社員さんも参加。まだIBDについての知識が少ない学生さんたちがレシピの案を出すたびに、社員さんが「中華麺よりお米でできているフォーがいいかも」「トマトは湯むきした方がいいかも」などのアドバイスをしてくれ、普通のレシピがIBDに対応したレシピへと変わっていくのが印象的でした。

アプリの「1日IBD患者体験」に子どもと参加。リアルで電話がかかってきたことに驚き!

学生さんたちの真剣さ、無邪気さがオンラインでも十分に伝わってきて、とても有意義な時間を過ごした編集部でした!…が、実はこのセミナーの最中、そして終了後も、目玉である「In Their Shoes」チャレンジが続いていたのです!

内容は、指定されたアプリをスマホにインストールし、IBD患者さんの1日を体験するというもの。さらに、実は早朝にバイク便で自宅に「参加キット一式」も届いていました!ダンボールの中にはいくつかの紙包みが。これらはアプリで指令が出るまで開封してはいけないとのこと。頭の中は「?」でいっぱいでしたが、せっかくなので5歳の息子と参加しました!

アプリでは「トイレに行って、トイレのドアを撮影してください」などの指令が容赦なく来ます。そのたびに私と息子はトイレに走り、指定の画像を撮影して送りました。しかし、少しでも気付くのが遅れると「トイレに失敗しました」との表示が…。「もし、近くにトイレがなかったら」と思うと、早くも外出するのが怖くなりました。

そして、随時指定されたアルファベットの紙包みを空けると、ウェットティッシュ、紙おむつ、紙シーツなどが入っていました。なんと、ある指令で指定された紙包みを開けると中には「ガチャベルト」が!昔はやった、ウエストを好きなところでとめられる、あのベルトです。それを強く巻くことでIBD患者さんのおなかの感覚を疑似体験するというものでした。IBD患者さんの痛みには遠く及ばないのかもしれませんが、「これよりもっとつらい状態で仕事をするのは相当キツイ…」と思いました。

さらに驚いたことに、体験中は何度かリアルな電話がかかってきたのです!これはプログラムの一つに含まれるロールプレイです。電話をかけてくる相手は、医療従事者や上司、同僚など異なる役割を演じています。例えば、会社の同僚から「今度の飲み会で、黒毛和牛の焼肉食べ放題と、イタリアンで窯焼きビザや美味しいパスタを食べるのと、どっちがいいですかね~?飲み放題もついてきますー!」みたいなハイテンションの電話がかかってくるわけです。「私はおなかの病気なので、イタリアンでメニューを変えてもらえれば参加できます」と返すと、「あ、そうなんですね。お酒は飲めますか?飲み放題がついているんですけど」と返答が。そこで、「本当は飲めますが、あえて飲まないようにしています」と回答しました。本当にIBDだったら「この人は知らないから仕方ない」とわかっていても、傷つくし、頭に来るし、自分のせいで迷惑がかかるという申し訳ない気持ちも湧いてきて…筆舌に尽くしがたい気持ちになるだろうと身をもって体験しました。これ以外にも、看護師や上司という設定での電話が来ました(笑)。

実際に体験してみてIBDプラス編集者として学んだこと

就寝前はベッドに紙シーツを置いて寝ます。さらに、何があっても良いように、本来起きなければならない時間の1時間前にアラームをセットします。

こうしてIBD患者シミュレーションが無事終了したわけですが、息子が布団の中で「この病気の人は大変だね」とポツリと言ったのが印象的でした。

今までIBDプラスの編集者として「IBD患者さんに役立つ記事を」ということばかりに目が行きがちでしたが、患者さん以外にIBDのリアルな状況を伝えることも重要だと痛感させられた1日でした。

(IBDプラス編集部)

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