【開催レポート】IBDとはたらくプロジェクト~ニューノーマル時代の仕事と治療の両立とは 12月11日

関東のイベント2020/12/22

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「仕事と病の両立」実態調査で、持病を抱える人と一緒に働く人の約7割が「サポートの仕方がわからない」と回答

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ヤンセンファーマ株式会社は12月11~13日、働くIBD患者さんと一緒に仕事と治療の両立を考えるイベント「ワークシックバランスひろば」を開催。12月11日には、「ニューノーマル時代の仕事と治療の両立支援」に関するメディアセミナーが行われました。

ワークシップバランスとは、ヤンセンファーマが提唱する「病気があっても自分らしい働き方を選択できること」を目指す考え方のこと。2020年10月に同社が全国の就労中の男女 1,000人を対象に行った、仕事と病の両立に関する実態調査の結果もセミナーで発表されました。

調査によると、持病を抱えている316人のうち、55%の人が「日常や仕事に影響がある」と回答した一方、「上司に持病のことを詳しく伝えている」と回答した人は約3割、同僚と人事に対して伝えている人は約2割でした。

「周囲の人に自身の病気のことを言いにくい」と回答した人をIBD患者さんだけに絞ると45%もいたそうです。その理由としては「サポートが期待できない」などが挙げられていました。これに対し、持病を抱えている人と一緒に働く人の約7割が「サポートの仕方がわからない」と回答していました。

これらの結果から、疾患の正しい情報を知ることができれば、双方のギャップが埋まり、より働きやすくなる可能性があると考えられます。

「お腹の病気」で済ませることは難しい。本人の心掛けの問題ではないことに理解を

小林先生は、IBD患者さんの就労における課題について、「10~30代で発症し、就職してから定年までという長期にわたって病気と共存していかなければならない患者さんも少なくない。そのため、IBD患者さんが働き続けられる環境を作ることは、彼らの能力を最大限活かすことにもつながり、職場ひいては社会全体においても非常に意味のあることだと思う」と、述べました。

患者代表として参加された奥野真由さんは、10歳でクローン病を発症し、現在27歳。埼玉県の社会福祉協議会で福祉に関するさまざまな活動をサポートする仕事をしているそうです。事務職なので基本的にはデスクワークですが、研修で外に出ることもあり、そのような時はトイレの心配があるそう。しかし、病気であることをオープンにしているため、周囲の理解があり、その安心感はとても大きいといいます。

就職活動に関しては、「病気であることを明かさずに働くことは後から自分が苦しくなると思い、就職活動の段階から採用担当者に病気のことを話した。しかし、ある程度自分でコントロールできると言っても眉間にしわを寄せる担当者もいた。特にIBDは、難病という単語が独り歩きしないように「自分はこれができる」という強みを伸ばすようなアプローチをした方が、選択の幅が広がると思う」と、語りました。

小島慶子さんは、知人にIBD患者さんが数人おり、日常的な苦労を傍から見て感じているそうです。また、いまだに「繊細だからおなかが痛くなるんじゃない?」などという心ない言葉を耳にするそうで、周囲の理解が得られないまま「お腹の病気です」で済ませることは難しいのではないか、と語りました。さらに一般の方に向けて「IBDの症状は、心掛けなどといった本人の問題ではないということをきちんと理解して欲しい」と呼び掛けました。

「自分らしい働き方」ができることが、当たり前の世の中に

最後に小林先生は「身体的、精神的、社会的に何ひとつ問題がなく完璧な人は、この世に誰1人いないと思う。人それぞれ得意不得意があるように、疾患は苦手なことの1つに過ぎず、それらも含めて個性となる。IBDの症状は千差万別だが、自分の体調、仕事、やりたいことに取り組みながら、自分らしい働き方を目指すのはごく自然なことで、それが当たり前の社会を目指していくことも、ごく自然なことだと考える」と、締めくくりました。

IBDは外見で見分けることが難しいため、症状を軽く見られてしまったり、患者さんが我慢しなければならないような状況に陥りやすいと聞きます。IBDプラスではこれからも、IBD患者のみなさんが働きやすい世の中を目指して、疾患理解の一助となるような取材をしていきたいと思います。

(IBDプラス編集部)

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