【開催レポート】病気を抱えながら働くことを考えるD&Iフォーラム

関東のイベント2018/5/30

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「病気を抱えながら働く」とは~ブロガー・fummyさん、みえIBD・しんちゃんが語る

IBDと上手に付き合いながら、自分らしく働く。多くの患者さんがこのテーマに悩み、そしてチャレンジを続けています。5月12日、東京都内でヤンセンファーマ株式会社主催のイベント「病気を抱えながら働くことを考えるD&Iフォーラム」でブロガーのfummyさん、みえIBDのしんちゃんが、自身の経験から「はたらく」について語りました。

パネリスト

fummy
ブログ「UC系男子」を執筆するブロガー。10代後半で潰瘍性大腸炎を発症。現在はwebマーケティング会社でコピーライターとして活躍中
Twitter:@copy_1nensei  ブログ:UC系男子

しんちゃん
みえIBD患者会副会長。クローン病歴13年目の30歳。みえIBD患者会での活動を通して病気に苦しむ方に少しでも希望を与えられたらと情報を発信中。
Twitter:@IBD_Tribe

小林拓先生
北里大学 北里研究所病院 炎症性腸疾患先進治療センター 副センター長

就職・転職活動時に病気のことを伝えるべきかどうか

fummy

「今はブロガーの傍ら、webマーケティング会社でコピーライターとして働いているのですが、自分も大学4年の就職活動時、病気のことを伝えるべきかどうかは一番悩みました。また、職種選びの際も、自分のやりたいことと病気とうまくつきあうことのどちらを優先すべきか、悩みましたね」

しんちゃん

「最初、一般採用枠で就職活動を開始したのですが、病気のことは伝えていませんでした。そうすると、当然面接のなかで“転勤は大丈夫ですか?”といった質問が来るのですが、通院のこともあるので転勤不可ということを伝えたかったのですが、病気を隠していることもあり、後ろめたい気持ちから伝えられませんでした。このように本心で就職活動ができなかった経験を踏まえて、障害者採用枠に切り替えて就職ができました」

小林先生

「IBDの患者さんは若い方が多いので、診察時にも就職活動について相談されることは多いです。そんな時には、患者さんに、まずは企業に病気のことを話し、理解してもらったうえで就職活動を行うことが理想だと伝えます。しかしながら実際は企業や職種、採用担当者によって温度差があるのは否定できません。患者さん1人ひとりで状態は異なります。花粉症の人が就職活動で“私、花粉症なんです”とは申告しないように、症状が安定していて、仕事はもちろん、生活にも影響が出ない状態が続いているなら、採用面接という限られた時間の中では、すべてを説明することにとらわれてしまわなくてもいいのかな、と思います。ただ、それでも就職した後には同僚や上司に理解してもらうことは必要かと思います。就職活動をそういった“職場の理解がある場であるか”患者さん側から選別する機会でもある、といった考え方も持ってほしいです」

職場の同僚・上司・人事に病気のことをつたえているか

参加者の真剣な様子からも関心の高さがうかがえる
参加者の真剣な様子からも関心の高さがうかがえる

しんちゃん

「障害者枠での採用だったので、最初から人事担当者が病気のことを知っていたのですが、一般採用の場合は、上司に伝えると、そこから人事に報告が行くことがあるので、入社後にわざわざ人事に時間をとって伝える必要はないのかな、と思いますね。就職活動中に病気のことについて何を聞かれてもすぐに答えられるように、“入院は突然するのか”“入院したらどのくらいで退院できるのか”“狭窄とは”など、自作の質疑応答マニュアルを作っていたのですが、入社後に自己紹介をかねてそのマニュアルを再構成して同僚・上司に配りました」

fummy

「僕も病気のことを伝えていますし、伝えるべきだと思っています。伝えるメリットは多くあります。まずは“通院の休みがもらいやすい”こと。次は“酒席を断りやすい”こと。そして“頻繁にトイレに行くことの後ろめたさが少ない”こと。4つ目は“業務内容を調整してもらうことが期待できる”ことです。5つ目は“後々のトラブルを防止できる”ことです。病気を伝えずに入社して、再燃などで迷惑をかけると、当然“なんで隠してたの?”という感じになってしまいますよね」

小林先生

「就職してからは、できるだけ早期に職場で信頼できる上司に共有してもらうのは重要です。私の患者さんでも、勇気を出して職場に報告したところ、同じ職場にIBDの患者さんが既にいたことが分かり、安心したと報告してくださった方もいます。一方、職場に伝えられていない患者さんもいるのですが、やはり休みがとりづらいからか、通院のスケジュールが組みづらく、症状が悪化して入院してしまうなど、治療が後手後手に回ってしまうこともあります。そのような患者さんには“僕から会社に病気のことを話すから”とサポートをしています」

仕事をする上で困った・不安なことは

しんちゃん

「僕は入社日に倒れて半年間入院してしまったのですが、その時は後ろめたい、申し訳ない気持ちでいっぱいでした。今の会社に入社して9年目になり、これまで9回入院していますが、職場の方々のサポートに本当に感謝しています。これも、前の質問の答えの繰り返しになりますが“病気のことを伝えた”からこそ、と思っています」

fummy

「やっぱり“病気のことを伝える”ことが大事なのかと思います。何も言わないで何回もトイレに行くと、やっぱり“あれ?”となりますから。“伝える”ことが全てではないですが、伝えることでちゃんと対応してくれる人も多いと思います」

IBD患者が働きやすい職種とは

fummy

「どの仕事が働きやすいか、はそんなに関係ないのではないかと思います。たとえ病気であっても、その人の持つ才能は変わりません。自分の才能にチャレンジしたいのだったら、そちらを優先すべきだと思います。私は就職活動に失敗して、1年間だけ教員を務めていました。公務員的な職業というと、働きやすいというイメージがあると思いますが、個人的な経験ではタテ社会な部分もあり、また毎日授業があるので休みがとりづらいかな、という印象でした。その次に出版社で編集の仕事に就いたのですが、一般的な“編集は激務”というイメージとは違い、残業するのは締め切り前で、土日もしっかり休むことができました。文章を書くことが好きだったので、肉体的には辛いときもありましたが、楽しく働けています」

しんちゃん

「僕は今、事務職でオフィスワークをしているのですが、体力的な負担が少なく、トイレに行きやすい環境です。が、僕の仲間でもさまざまな職種についているので、体調優先で苦手な仕事をするくらいなら、やりたいことにチャレンジしていってほしいですね」

小林先生

「日ごろから患者さんには、IBDになったからといって、“何かできなくなる”ことはないんですよと言っています。ストレスが全くない会社、全くない職種を選べるわけではありません。“やりたい”という気持ちが一番のエネルギーになります。自ら可能性を狭めることは考えなくてよいのではないでしょうか」

IBD患者さんへのメッセージ

fummy

「IBDと診断されて、この5月で12年経ちました。診断された最初の3~4年は体調も悪く、入院したこともあったのですが、それ以降は落ち着いており、仕事も頑張ってできているので幸せかな、と思います。これから就職・転職活動される方は、ぜひチャレンジしてほしいな、と思います。潰瘍性大腸炎だから、クローン病だからといって、才能や魅力が失われるわけではありません。才能をどう生かしていくか、に重きをおけば、必ず豊かな人生になると思うので、皆さんも頑張っていきましょう」

しんちゃん

「17歳でクローン病の診断を受け、病気について調べた時“人生詰んだ”とその時は思いました。30歳になったいま、治療・薬の選択肢も増え、IBDを取り巻く環境は劇的に変化しています。IBDだからといってあきらめることは無いと思います」

(IBDプラス編集部)

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