膵臓に「細菌感染から腸を守る」働きがあることを発見

ニュース2021/2/22

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IBDとも関連する「バクテリアルトランスロケーション」から体を守るには?

千葉大学大学院医学研究院イノベーション医学研究領域 倉島洋介准教授らの研究グループは、食物の消化を担う臓器「膵(すい)臓」が、細菌感染から腸管を守る働きを持つことを初めて明らかにしました。

膵臓には、食べ物を消化する膵液を十二指腸内へ分泌し、腸管での消化を助ける外分泌機能があります。この外分泌機能を担う膵臓の腺房細胞の分泌顆粒には「GP2」という糖タンパク質が多く含まれています。GP2は大量に分泌され、腸管腔に広く分布しています。

これまで、GP2の遺伝子変異が膵臓がんのリスクの上昇につながることや、GP2に反応する自己抗体が炎症性腸疾患(IBD)患者さんで多く検出されることが報告されていましたが、GP2の役割はほとんどわかっていませんでした。

腸管の機能低下が多臓器不全を引き起こすメカニズムには、IBDなどの消化管疾患や免疫能の低下、ストレス、細菌の異常増殖などで、生きた腸内細菌が腸管内から粘膜組織や腸管のリンパ節、他臓器へと移行・感染する「バクテリアルトランスロケーション」が関与していると考えられています。しかし、この現象が起こる明確な原因も不明でした。

膵臓はGP2を分泌し、細菌感染から体を守るバリアとしての働きをもつ

研究グループは、これまでIBDや食物アレルギーといった免疫疾患の研究をしており、なかでも粘膜に覆われた腸管で起こる免疫応答に特に注目し、研究を進めてきました。その過程でマウスの腸管内の細胞に発現するさまざまなタンパク質を染色し、GP2を発現する細胞についての分布を調べていたところ、腸管の内容物(管腔)に強くGP2が検出されることを発見しました。また、GP2が腸管の十二指腸から大腸にかけて管腔内に分布し、糞便中でも多く検出されることを明らかにしました。

腸管内容物に含まれるGP2と腸内細菌を注意深く観察してみると、GP2が腸内細菌と結合し凝集している様子が示されました。GP2は細菌の線毛と呼ばれる上皮細胞への接着に必要な部位に結合しており、全身もしくは膵臓だけでGP2を欠損させたマウスでは、バクテリアルトランスロケーションが起こりやすく、腸炎が重症化することがわかったそうです。

これらの結果から、腸管の上部にある膵臓には、「バクテリアルトランスロケーションや食物などによる細菌感染から体を守るバリア」としての働きがあることが示唆されました。

食べ物を消化する「消化酵素」を作ったり、インスリンなどのホルモンを作ったりしている膵臓が、実は腸と連携して細菌感染から体を守る働きをしていたなんて驚きですね!IBD患者さんの膵臓の働きに関する研究も今後進んでいくかもしれません。

(IBDプラス編集部)

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