感染性の下痢症に対する飲むワクチン「ムコライス」、ヒトでの有効性と安全性を確認

ニュース2021/7/2

食べるコメではなく、粉末にして飲むことを想定したワクチンとして期待度大

東京大学医科学研究所 東京大学特任教授部門 粘膜免疫学部門/千葉大学国際粘膜免疫・アレルギー治療学拠点の清野宏特任教授らの研究グループは、コメ型経口ワクチン「ムコライス」の健康成人を対象とした医師主導第1相試験において、有効性と安全性、副作用が耐えられるレベルか(忍容性)などを確認しました。

コレラ菌感染による下痢症は、発展途上国で現在も大きな問題となっており、年間約130~400万人の感染者と、それに起因する2~14万人の死者が出ています。また、「毒素原性大腸菌感染」による下痢症は、年間約260万人の患者数が報告されています。

ムコライスはコメで作った飲むワクチンです。現在までのところ、食料として流通するのではなく、栽培した特殊なコメを粉末にして、それをワクチンの原薬とする方向で研究が進められています。常温保存可能で注射も必要ないことから「世界的規模の安価なワクチン」として供給できる可能性があるそうです。

ワクチンの効き目に「腸内細菌叢」が影響する可能性

コレラ感染による下痢症予防ワクチンとなるように設計して作ったムコライスの有効性は、実験動物レベルでは確認されていましたが、今回新たにヒトに投与したときの有効性と安全性が確認されました。このワクチンは、コレラ毒素による下痢症だけではなく、発展途上国からの帰国者によくみられる「旅行者下痢症」を原因とする下痢症にも効果がある可能性が示されたそうです。旅行者下痢症は、毒素原性大腸菌によって引き起こされます。

さらに、同ワクチンに対する免疫応答が、被験者の「腸内細菌叢」と深い関わりがあることも明らかになりました。便中の細菌DNAを詳細に解析した結果、免疫応答があったグループ(応答群)は非免疫応答のグループに比べ、腸内細菌叢の多様性が有意に高かったそうです。また、応答群には大腸菌や赤痢菌などのDNAが有意に多く、ヒトの腸内で多くみられる「バクテロイデス」という細菌が有意に少ないという特徴があることが明らかになりました。つまり、同ワクチンの効き目に腸内細菌叢が影響する可能性があるというわけです。

「現在、低コストで大量安定供給ができるムコライス栽培システムの確立を目指して、植物系・工学系研究者や、農学系研究者、空調・設備・機器企業などとの異分野融合研究を継続的に取り組んでいる」と、研究グループは述べています。

注射が大っ嫌いなIBDプラス編集部にとって「飲むワクチン」に期待したいところですが、腸内細菌叢の整え方も教えてもらえたら…と思いました。続報に期待します!

(IBDプラス編集部)

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