大麦の摂取量と「ビフィズス菌」や「酪酸産生菌」の高さに関連-日本人の調査結果
大麦の摂取が日本人の腸内細菌叢に与える影響を調査
株式会社はくばく、医薬基盤・健康・栄養研究所ワクチン・アジュバント研究センター、山梨大学らの研究グループは、三者共同研究「腸内細菌叢研究データベースの統合的解析による腸内環境評価システムの開発」を実施したと発表しました。
大麦には水溶性食物繊維β-グルカンが豊富に含まれており、さまざまな健康機能があることが明らかにされてきました。また、腸内細菌叢が宿主であるヒトにもたらす健康上の機能も近年注目を浴びています。しかし、大麦の摂取が日本人の腸内細菌叢に与える影響について調べた報告は、ほとんどありませんでした。
そこで、日常的に大麦を食べていると考えられる同社社員の健康診断の結果や腸内細菌叢、大麦を含む食事習慣や居住環境、疾患などのデータを調査・追跡したコホート研究を実施しました。
高摂取は低摂取に比べ、「ビフィズス菌」と「ブチリシコッカス菌」が高い
精麦商品を取り扱う同社社員272人を対象に腸内細菌叢の解析を行い、身体測定値、血圧、生化学的マーカーなどの健康診断結果、質問票を用いた大麦の摂取量や摂取頻度、簡易型自記式食事歴法質問票を用いた食習慣のデータを収集。最終的に対象者として選ばれた236人から、糖尿病や高血圧、脂質異常症およびその予備群に該当する対象者を除いた94人を解析対象者とし、大麦の摂取量が0~3.5g/1,000kcalの対象者を「低摂取グループ」、3.5~28.0g/1,000kcalの対象者を「高摂取グループ」として解析しました。
その結果、高摂取グループでは、特にビフィズス菌とブチリシコッカス菌が低摂取グループと比べて有意に高いことがわかりました。これは、全参加者(236人)を対象に性別、年齢、糖尿病、高血圧、脂質異常症のリスクで調整しても同様の結果だったそうです。
さまざまな疾患と大麦の摂取による腸内細菌叢の変化がどう関係しているか調査する予定
今回の研究結果により、大麦の摂取が日本人の腸内細菌叢に影響を及ぼすこと、特に、有用菌として知られる「ビフィズス菌」や酪酸産生菌の1つである「ブチリシコッカス菌」が大麦の摂取と関係していることが明らかになりました。腸内細菌がヒトの体に及ぼす健康機能は長年注目されています。
研究グループは「今後、同データを用いて糖尿病や高血圧、脂質異常症などの疾患と大麦の摂取がもたらす腸内細菌叢の変化がどのように関係しているのかを明らかにする予定」と、述べています。
「麦ごはん」や「シリアル」などで、私たちにとって非常に身近な大麦。さらに研究が進み、炎症性腸疾患(IBD)との関係も調べて欲しいと思いました。
(IBDプラス編集部)
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