飲食物の味と見た目を変える装置開発、牛乳をカニクリームコロッケに変えることに成功
ニュース | 2022/7/21
「味の差」を解消することで、目標とする食べ物の味に近づく
明治大学総合数理学部先端メディアサイエンス学科の宮下芳明教授は、飲食物の味と見た目を変える装置「TTTV2」(Transform The Taste and Visual appearance)を開発したと発表しました。
この装置は、総務省「異能vationプログラム」で宮下教授が開発した味覚メディア「味わうテレビ TTTV」を発展させたもので、基本五味(甘味、酸味、塩味、苦味、うま味)や辛味などの味を感じさせる液体を混合噴霧し、味と見た目を変えるというものです。
デモンストレーションでは、「牛乳(元飲食物A)」を「カニクリームコロッケ(目標飲食物B)」と同じ味と見た目にすることに成功しています。元飲食物Aを目標飲食物Bの味と見た目に変えるためには、まず、元飲食物Aと目標飲食物Bを味覚センサーで測定し、味の差を算出します。さらに、「味溶液」を噴霧混合しながら、味の差を元飲食物Aにかけることで、目標飲食物Bの味に近づけます。また、可食インクの印刷によって、見た目も目標飲食物Bに近づけます。
実際に、牛乳にもともと含まれているアミン系化合物が揮発(液体が常温で気体になること)することで魚介類・甲殻類の香りを生み出し、味と見た目に加え、香りまでもカニクリームコロッケに類似させることに成功。アレルゲンとなる物質を含まないため、甲殻アレルギーの人でも安全に食べることができるカニクリームコロッケができあがりました。
TTTV2の普及でIBDの食事制限におけるストレスがなくなる可能性も
同装置は他にも、白おにぎりを梅干しおにぎりに変えたり、白米をちらし寿司に変えたりすることが容易にできるため、将来的には台所に設置する「調味家電」(宮下教授による造語)としての社会実装を目指しているそうです。これが実現すれば、家庭料理をプロの味付けにできるなど、あらゆる飲食物の味を安全に再現することが可能になります。また、エリンギを毒キノコと同じ味と見た目にして安全に味わうなど、ちょっと変わった使い方もできます。
今回の研究成果は、9月に福知山公立大学で開催される情報処理学会「エンタテインメントコンピューティング2022」で発表される予定です。
TTTV2の開発は、食事制限が必要となるIBD患者さんにとっても嬉しいニュースですよね!から揚げやとんこつラーメンの味と見た目のおかゆとか、いちごショートにしか見えないうどんとか…??今から楽しみです。
(IBDプラス編集部)
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