潰瘍性大腸炎や大腸腫瘍の新規治療法開発につながる「治療標的」を発見

ニュース2022/8/16

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DCIRの腸管免疫における役割は?

東京理科大学生命医科学研究所実験動物学研究部門の岩倉洋一郎教授らの研究グループは、「樹状細胞免疫受容体(DCIR)」を欠損させたマウスが、ヒト潰瘍性大腸炎のモデル「デキストラン硫酸ナトリウム(DSS)誘導大腸炎」に耐性を示し、大腸腫瘍の発生も抑制されたと発表しました。

研究グループは以前の研究で、「DCIRが機能しないよう人工的に改変したDCIR欠損マウスは自己免疫を発症する」こと、「DCIRが樹状細胞という免疫細胞の大事な役割である”抗原提示”の制御に重要な役割を担っている」ことを明らかにしていました。

このようにDCIRが自己免疫に関連する可能性は示されていたのですが、腸管免疫は他の臓器の免疫制御機構とは大きく異なるため、DCIRが腸管免疫に果たす役割は明らかにされていませんでした。そこで研究グループは今回、DCIRの腸管免疫における役割を解析しました。

DCIRを欠損させたマウスでは、大腸の炎症と大腸腫瘍が抑制された

DSSを含む飲用水を飲ませることで、ヒト潰瘍性大腸炎に似た大腸炎をマウスに起こしたところ、DCIR欠損マウスは欠損していない通常の(野生型)マウスに比べ、炎症の程度が軽いことが判明。この時の遺伝子発現を調べた結果、DCIR欠損マウスでは「炎症性サイトカイン」の発現が低下し、「GM-CSF」の発現が亢進していることなどがわかりました。

GM-CSFは、自然免疫細胞として知られるILC3などの細胞から産生され、自然免疫系の「恒常性維持」に働くことで知られており、近年の研究では、自己免疫疾患や炎症性疾患の発症において重要な役割を果たすことが示唆されています。このGM-CSFについて詳しく調べたところ、DCIR欠損マウスではILC3からたくさんのGM-CSFが産生され、これが炎症性サイトカインの発現を阻害し、大腸炎を抑制していることが判明しました。この仕組みによって、潰瘍性大腸炎のマウスモデルと同様に、炎症を起こすことで誘導したマウスの大腸腫瘍の発生も抑制することが示唆されたということです。

さらに、DCIRの欠損マウスではなく、DCIRの働きを阻害する薬剤を投与した野生型マウスでも、大腸炎や大腸腫瘍の形成を抑えることができたそうです。

DCIRの阻害で潰瘍性大腸炎や大腸腫瘍を抑制できる可能性

今回の研究により、DCIRシグナルが腸管で炎症や発がんを助長していることが明らかとなり、これを阻害することで潰瘍性大腸炎や大腸腫瘍を抑制できる可能性が示唆されました。

「本研究成果は、炎症性腸疾患や大腸腫瘍に対する新たな治療法の開発につながるものと考えている」と、研究グループは述べています。

(IBDプラス編集部)

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