I型コラーゲンを介した腸上皮の炎症再生メカニズムを解明、IBDの新規治療法開発に期待

ニュース2022/12/14

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I型コラーゲンを介して腸上皮が炎症から再生するメカニズムは?

東京医科歯科大学と筑波大学などの研究グループは、I型コラーゲンを介した腸上皮の炎症・再生機構を解明したと発表しました。

研究グループはこれまで、腸上皮傷害後の再生過程でI型コラーゲンが間質(腸の組織)に沈着し、組織の再構築(リモデリング)が生じることで、転写因子「YAP/TAZ」の活性が誘導され、腸上皮細胞の性質が変容することを明らかにしてきました。しかし、その詳細については不明でした。

腸の細胞外にあるI型コラーゲン、炎症性腸疾患の新規治療開発のヒントになる可能性

そこで研究グループは今回、独自開発したI型コラーゲン内で培養したマウスの腸管上皮細胞の遺伝子解析を行いました。

その結果、上皮の再生時には「YAP/TAZ」のみならず、「AP-1」「RUNX2」という転写因子の活性が複合的に誘導されることで変容することがわかりました。

さらに、ヒトの成体上皮細胞にもI型コラーゲン内の培養法を適用して解析した結果、「潰瘍性大腸炎の遺伝子プロファイルと高い相同性を示した」ということです。つまり、潰瘍性大腸炎の病態に、腸の細胞を取り巻くI型コラーゲンが何らかの関わりを持っている可能性が見えたというわけです。

また、ヒトの腸上皮再生過程では、マウスと同様にI型コラーゲンを介した上皮細胞の変容が生じることが明らかになり、多数の遺伝子と結合する重要な「ハブ遺伝子」として、フィブロネクチンなども特定されたとしています。

今回の研究成果により、「腸上皮細胞と、それを取り巻く物質との相互作用」に着目した炎症性腸疾患(IBD)に対する新規治療法開発への応用が期待されます。

(IBDプラス編集部)

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