大腸内視鏡の病変検出AIソフトが承認取得、大腸ポリープ見落とし率改善に期待

ニュース2023/3/6

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腫瘍性ポリープの約20~40%が大腸内視鏡で見落とされているとの報告も

東京慈恵会医科大学とエルピクセル株式会社は、大腸内視鏡の画像情報(動画)からAI(人工知能技術)を用いて、大腸ポリープ候補の検出を支援するソフトウェア「EIRL Colon Polyp(エイル コロン ポリープ)」を共同開発し、薬事承認を取得したことを発表しました。

腫瘍性ポリープの発見率が1%上昇すると将来の大腸がんが3%減少する可能性があるそうですが、約20~40%が大腸内視鏡で見落とされているとの報告があります。発見率改善のため、専門医の育成や最先端の内視鏡システムの普及が行われていますが、費用や人材のコストが大きくかかることが問題視されています。

そこで東京慈恵会医科大学とエルピクセルは、内視鏡医の技能や機械の性能によらず検査精度と効率化の改善を図るため、従来の内視鏡システムにも対応可能な人工知能を用いた大腸内視鏡検査支援システムの開発に取り組みました。

開発した診断支援システムの病変検出感度98.0%、陽性的中率91.2%、線腫見逃し率も低下

東京慈恵会医科大学附属病院の大腸内視鏡検査で収集した約6万5,000枚の大腸ポリープの画像データを学習用データとし、深層学習により大腸ポリープを自動で認識するコンピュータ診断支援システムを構築。2018年5月時点の精度検証では、病変検出感度および陽性的中率は、それぞれ98.0%、91.2%、通常内視鏡では発見が困難とされる平坦かつ微小病変に限定した場合でも、それぞれ96.7%、93.7%と良好な成績だったそうです。

また、2019~2020年にかけて国内4施設で実施した多施設共同無作為化比較試験でも、腺腫の見逃し率が、同システムを使用しない場合は36.7%だったのに対し、使用した場合では13.8%と、改善が認められました。

ポリープの見落とし減少による、将来の大腸がん発生のリスク低減に期待

今回は初版として、オリンパス社製内視鏡の対応システムのソフトウェアで単体性能試験を実施し、感度98.1%、特異度95.0%で合格基準に達したため薬事承認されました。すでに東京慈恵会医科大学附属病院の内視鏡室に同システムが設置され、臨床の現場での評価に基づき改良に取り組んでいるそうです。

両者は「ポリープの見落としを減らすことで、将来の大腸がん発生のリスク低減が期待される。また、診断支援のみならず腫瘍と非腫瘍の組織診断の予測までリアルタイムに行う人工知能支援システムなど、今後も更新していく予定だ。より多くの人に幅広く質の高い大腸内視鏡検査を提供し、大腸がんの発生を防ぐことを期待している」と、述べています。

IBDにおける大腸がんの早期発見にも貢献してくれることを期待したいですね。

(IBDプラス編集部)

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