睡眠不足に伴う腸内細菌叢の乱れに「αディフェンシン」分泌量の低下が関与

ニュース , 腸内細菌を学ぶ2023/5/2

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「睡眠不足」が腸内細菌叢の破綻を引き起こすメカニズムは?

北海道大学の研究グループは、腸管自然免疫の作用因子となる抗菌ペプチドの「αディフェンシン」が睡眠時間の短い人ほど低いことを示し、そのことが睡眠不足における「腸内細菌叢の破綻」と免疫系の機能に重要な菌代謝産物である酢酸や酪酸など「短鎖脂肪酸の低下」に関与することを明らかにしたと発表しました。

睡眠は生理機能の調節に極めて重要であり、睡眠不足によって「腸内細菌叢の破綻」が起こり、それが精神的・身体的不調を起こしてさまざまな疾患リスクの亢進に関与することがこれまでに示唆されていましたが、睡眠不足が腸内細菌叢の破綻を引き起こすメカニズムは不明でした。

健常者35人の便中αディフェンシン量を解析、睡眠不足で分泌量低下

研究グループは今回、地域コホート研究(特定の地域で特定疾患の状況を長期間追跡する調査)に参加した北海道に居住する中高年の健常者35人を対象に、睡眠記録と提供された便を用いて、睡眠とαディフェンシン分泌量、腸内細菌叢・代謝物の関連について、詳しく解析しました。

その結果、睡眠不足と腸におけるαディフェンシン分泌量低下の関係が示され、短い睡眠が腸内細菌叢の組成と機能的な異常に関与することが判明しました。これにより、脳腸相関における「睡眠-αディフェンシン-腸内細菌叢」という新たな視点が提示されました。

αディフェンシンの分泌誘導をターゲットとした睡眠障害予防・治療法開発に期待

今回の研究により、睡眠不足に伴う腸内細菌叢の破綻メカニズムに、αディフェンシン分泌量の低下が関与していることが強く示唆されました。これは、αディフェンシンと睡眠障害の関係を初めて解明した画期的な成果と言えます。

研究グループは「今後、αディフェンシンの分泌誘導をターゲットとした睡眠障害に対する予防法や新規治療法の開発が期待される」と、述べています。

(IBDプラス編集部)

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