日・中・韓のIBD患者さんにみられる特徴的な遺伝子を新たに80か所特定

ニュース2023/5/15

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アジア人のIBD患者さんの大規模な遺伝子解析は行われていなかった

東北大学、九州大学、国立国際医療研究センター、京都大学の研究グループは、中国・韓国・米国の研究グループとの国際共同研究を通して、日本人を含む東アジア人の炎症性腸疾患(IBD)に特徴的な80か所の感受性遺伝子を報告したと発表しました。

IBDは生まれ持った遺伝的要因と、食事や腸内細菌、喫煙といった環境的要因との相互作用で発症すると考えられています。

遺伝的要因として、主に欧米人(白人)を対象とした解析から、これまでに病気のなりやすさに関与する200か所以上の遺伝子領域(疾患感受性遺伝子)が明らかになっていました。しかし、人種によって遺伝的な背景が異なるため、欧米での結果がそのままアジア人では当てはまらないことがありました。

一方で、アジア人ではIBDが欧米よりも少なかったこともあり、欧米に比べると小規模な遺伝子解析ばかりで、大規模な解析は行われていませんでした。

人種横断的な解析でIBD発症と関連する320遺伝子を明らかに

研究グループは今回、米国ブロード研究所、中国上海市第十人民医院、韓国蔚山大学らとの国際共同研究を実施し、遺伝的によく似た背景をもつ中国人・韓国人・日本人の1万4,000人以上の患者の遺伝子解析に成功しました。

その結果、東アジア人のIBDに特徴的な80か所の感受性遺伝子が確認されたほか、欧米人とも合わせた解析で新たに81か所の遺伝子を発見し、これまで知られていたものと合わせ、IBDの感受性遺伝子320か所を明らかにしました。

IBDの発症リスク予測法や、アジア人向け治療薬の開発に期待

今回の研究結果は、これまで欧米人のデータをもとに開発が進んでいた治療薬や病気の予測法などを、日本人を含む東アジア人でも活用できるようにするために重要な知見と言えます。

また、遺伝要因が判明することで、新しい治療薬の開発や、個人ごとの病気のなりやすさの予測、発病後の患者さんに合う適切な治療法の予測ができるようになる可能性があります。

「今後、IBDになりやすい体質や、アジア人に適切な治療法などの解明が進んでいくことが期待される」と、研究グループは述べています。

まだ原因遺伝子の発見には至っていませんが、遺伝子解析の進歩でかなり研究が進んでいるようですね。今後に期待しましょう!

(IBDプラス編集部)

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