難病患者さんの看護で「困難」と感じることは?看護師さんの意識調査で判明
ニュース | 2023/10/10
指定難病患者さん500人と難病患者さんの看護経験をもつ看護師さん464人を対象に調査
アレクシオンファーマ合同会社は、指定難病患者さんと、指定難病患者さんの看護経験のある看護師さんを対象に実施したインターネット調査「難病患者さんと医療従事者のコミュニケーションと連携に関する意識調査」の結果を発表しました。
同調査は2023年7月21日〜8月22日に、直近半年間に通院または入院歴のある20〜69歳の指定難病患者さん(以下、難病患者さん)500人(潰瘍性大腸炎17.8%、全身性エリテマトーデス8.4%、クローン病7.4%など)、直近半年間に通院または入院歴のある20〜69歳の指定難病以外の病気の患者さん(以下、難病以外の患者さん)500人、指定難病患者さんの看護に関わったことのある20〜69歳の現職看護師さん(以下、看護師さん)464人を対象に実施されました。
看護師さんが難病患者さんの看護を難しいと感じる大きな原因は、専門的な知識の必要性
看護師さんに難病以外の患者さんと比べて、難病患者さんの看護でどのような困りごとや大変さがあるかを尋ねたところ、「専門的な知識やスキルの高さが求められる」(52.8%)が最も多く、次いで「心理的なサポートとカウンセリングが難しい」(34.7%)、「症状・状態を、看護師が理解することが難しい」(30.0%)が挙げられました。
以上のことから、難病では「専門的な知識」が求められるため、症状の説明や時期などで看護師さんが難病患者さんとのコミュニケーションに難しさを感じていることがわかりました。
医療従事者同志の連携不足、患者さんと看護師さん双方が感じていると判明
難病患者さんと看護師さんのコミュニケーションについては、難病患者さんの約6割が「医師とコミュニケーションがとれている」、約4割が「看護師とコミュニケーションがとれている」と回答しました。さらに、日常生活介助の要否と病状を類型化して調べたところ、「症状や日常生活障害の程度が重くなるほど、看護師とのコミュニケーションの満足度が上がっている」と推察されました。
また、医師と看護師の連携に関する質問では、難病患者さんと看護師さんの双方が、医療従事者の連携に関して疑問や課題を感じていることが判明しました。
難病患者さんは看護師さんに「精神的な支え」や「相談相手」になって欲しい
難病患者さんが看護師さんに求めることや、看護で嬉しかったこと・助かったことを尋ねたところ、多かった順に「精神面(心持ち)について支えてほしい」「症状の変化・状態について相談にのってほしい」「治療内容・治療の方向性について(薬の効果や、副作用など含む)説明して欲しい」などが挙げられました。また、看護で嬉しかった/助かったことは「親身に接してくれた」が最も多い結果となりました。
看護師さんの約6割が「病気以外の相談への対応は難しい」と感じている
一方で、看護師さんは、症状や治療に関することだけでなく日常生活や就労、結婚・出産など、難病患者さんのさまざまな相談対応を行なっているものの、約6割が「病気に関すること以外の相談については対応が難しい」と感じていました。
相談を受けている中で対応が難しいと感じる事柄としては「精神面(心持ち)について」「医療費」「保険・制度活用」「就学・就労」など、病気そのものに関すること以外が上位を占めたということです。
医師・看護師・難病患者での交流の機会を増やすなど、サポート体制の見直しが重要
同調査の監修者である東京都医学総合研究所 社会健康医学研究センター 難病ケア看護ユニットユニットリーダーの中山優季先生は今回の結果を受け、「難病患者が看護師に対して専門的な知識やスキルだけでなく、治療における精神面での支えや情報提供など、多岐にわたるサポートを求めていることがわかった。一方、医療従事者間の連携が必要とされながらも看護師は、十分な時間を割くことが難しい、医師・看護師・難病患者の三者で直接コミュニケーションできる場が少ないなどの課題を感じており、医療現場の仕組みや体制面からも、難病患者のサポートを考える必要があることがわかった」と、述べています。
(IBDプラス編集部)
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