潰瘍性大腸炎の腸で起こる異常な免疫反応、その仕組みを解明

ニュース2018/1/24

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細胞内に取り込まれた有害物質を排出する「MDR1」の機能が低下

炎症性腸疾患(IBD)は、大腸や小腸の粘膜面における免疫機構の異常と、腸内細菌や食事で摂取した成分などで構成される腸内環境とが複雑に絡み合って発症する病気です。発症の原因が多様であるため、現在行われている治療法では効果が十分でない患者も少なくなく、新しい治療法の開発が求められています。

大阪大学の研究グループは、過去に出会った病原体を記憶して免疫反応を起こす働きを担う「エフェクターT細胞」に発現し、細胞内に取り込まれた身体に有害な物質を細胞の外へ排出する機能をもつ「MDR1」の機能が、一部のIBD患者で低下していることを突き止めました。また、このMDR1が、脂肪の消化吸収を促進する「胆汁酸」によって起こる腸管の炎症を抑えるうえで、重要な働きを担っていることも明らかになりました。

回腸で炎症のある患者、MDR1機能不全の割合高い

研究グループは、MDR1遺伝子を持たないマウスの「T細胞」を投与して、腸炎を起こしたモデルマウスを作製し、MDR1遺伝子を持っているT細胞を投与して同じく腸炎を起こしたマウスと比較しました。すると、MDR1遺伝子を持たないT細胞を投与したマウスだけが、小腸の末端にある回腸に重い炎症を起こすことがわかりました。この炎症は、抗生物質を飲ませて腸内細菌を除去してもよくならず、腸内細菌が炎症の原因ではないことも確認しました。

そこで研究グループは、炎症を起こしている原因として、回腸に豊富にある胆汁酸に注目。マウスに、胆汁酸の排出を促すエサを食べさせたところ、MDR1遺伝子を持たないT細胞を投与したマウスでも回腸に炎症は起こりませんでした。また、MDR1遺伝子を持たないT細胞が病原体を識別して変化した「エフェクターT細胞」を胆汁酸にさらすと、炎症を起こす物質である「炎症性サイトカイン」が増え、酸化ストレスが高まることもわかりました。

さらに、実際の患者の血液から採取したエフェクターT細胞を調べたところ、MDR1の機能が低下していることも確認。潰瘍性大腸炎で回腸に炎症が起こる患者は、MDR1の機能不全である割合が非常に高いことを明らかにしました。

この研究成果が、MDR1や胆汁酸をターゲットにしたIBDの新しい治療法開発につながることが期待されます。

(IBDプラス編集部)

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