開発中の新薬「フィルゴチニブ」、活動期成人UC対象の治験で寛解導入・維持効果を確認
ニュース | 2020/6/1
1日1回経口投与の「選択的JAK1阻害剤」
ギリアド・サイエンシズおよびガラパゴスNVは、生物学的製剤による治療歴があるまたはない中等度~重度の潰瘍性大腸炎の成人患者さん1,348人を対象に、開発中の1日1回経口投与である選択的JAK1阻害剤「filgotinib(フィルゴチニブ)」の有効性と安全性を評価する無作為化・二重盲検・プラセボ対照第2b/3相SELECTION試験について、良好な結果が出たことを発表しました。
今回、Filgotinib 200mgは、有効性と安全性に関する全ての主要評価項目を達成し、filgotinib 200mg群の10週時臨床的寛解達成率および58週時臨床的寛解維持率は、プラセボ群に比べ有意に高いことが示されました。一方で、filgotinib 100mg群の10週時臨床的寛解率は統計学的に有意なものではなかったとしています。
詳しく見ると、生物学的製剤の治療歴のない患者さんでは、filgotinib 200mg群はプラセボ群に比べ、初回投与から10週後に臨床的寛解を達成した患者さんの割合が統計学的に有意に高かったそうです(filgotinib 200mg群:26.1%、プラセボ群:15.3%)。また、生物学的製剤の治療歴のある患者さんでも、同じくfilgotinib 200mg群が有意に高い結果だったそうです(filgotinib 200mg群:11.5%、プラセボ群:4.2%)。
Filgotinib 100mgまたは200mgの初回投与から10週後に臨床的改善または寛解を達成した患者さんは、その後それぞれの寛解導入試験の用量のfilgotinib群またはプラセボ群に2:1の割合で再度無作為に割り付けられ、58週時まで投与が継続されました。まず、100mgも200mgも、寛解維持試験の主要評価項目を達成したそうです。そして、58週時の臨床的寛解率は、プラセボ群が11.2%であったのに対し、filgotinib 200mg群(生物学的製剤の治療歴がある患者さん・ない患者さん含む)は37.2%でした。また、プラセボ群が13.5%であったのに対し、filgotinib100mg群は23.8%でした。
寛解導入試験における重篤な有害事象の発現割合は、生物学的製剤の治療歴の有無にかかわらず全治療群同程度で、死亡例も発生しなかったそうです。
有害事象の発現割合も低く、全治療群で同程度
寛解維持試験における重篤な有害事象の発現割合は、filgotinib 200mg群では、プラセボ群の0%に対し4.5%でした。また、filgotinib100mg群では、プラセボ群の7.7%に対し、4.5%でした。重症感染症、帯状疱疹、静脈血栓、肺血栓塞栓症および胃腸穿孔の出現率は、寛解導入および寛解維持の両試験において低く、全群で同程度でした。死亡例は、寛解維持試験のfilgotinib 200mg群で2例発生したそうですが、いずれの死亡例も治験薬との関連性はないと判断されたということです。
ギリアドは、「SELECTION試験で、filgotinibが寛解導入療法として早期に反応をもたらし、寛解維持療法として持続的な効果を発揮することが観察され、有望な結果が得られた。今回の結果は、filgotinibが経口投与で、より多くの患者さんが、効果的かつ持続的な改善を達成するのに役立つ可能性を示唆している」と述べています。
(IBDプラス編集部)
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