IBDや関節リウマチの新規創薬などに繋がる「寛解状態」の分子特徴が判明

ニュース2018/8/3

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今までほとんど解明されていなかった薬剤による「分子的寛解状態」

慶應義塾大学は、関節リウマチ患者の「寛解状態の分子特徴」を多層オミックス解析により明らかにしたと発表しました。この研究は、同大医学部内科学(リウマチ・膠原病)教室の竹内勤教授、鈴木勝也専任講師、同微生物・免疫学教室の吉村昭彦教授らが、武田薬品工業株式会社と共同で行ったものです。この特徴は、炎症性腸疾患(IBD)と共通点が認められることから、病態解明や創薬への応用の可能性も考えられるそうです。

これまで、炎症が認められる関節リウマチ患者が薬剤治療で関節の痛みや腫れがほぼない寛解状態になった場合、体内の分子の状態は健常人により近くなると考えられてきました。しかし、薬剤による寛解状態については、不明な点が多く残されていました。

一部の分子特徴は薬物療法後も健常な人とは異なることが判明

今回研究グループは、炎症状態にある関節リウマチ患者の末梢血の多層オミックスデータ(遺伝子の発現、たんぱく質の構造解析・たんぱく質の立体構造決定、免疫表現型)を健常人と比較。両者を識別する「分子情報に基づく客観的な診断モデル」を開発し、疾患状態をスコア化しました。その結果、これらの分子特徴が、現在使用されている3種類の疾患修飾性抗リウマチ薬(メトトレキサート、TNF阻害薬、IL-6受容体阻害薬)により、健常な人の状態に近づくことを明らかにしました。さらに、分子的寛解の程度が、関節リウマチの炎症度合いや期間、身体機能障害の指標と強い関連性があることが明らかになりました。

その一方で、一部の分子特徴が薬物療法後も健常な人とは異なっており、好中球、単球、ナチュラルキラー細胞との関連があることを解明。また、患者体内の分子情報に関する公共データを利用した解析により、これらがIBDや肥満患者とより共通する特徴であることも判明したそうです。

今回の研究で解明された分子的寛解の特徴が、関節リウマチの精密医療の実現や、IBDを含む免疫疾患の新規創薬に向けた重要な一歩となることが期待されています。

(IBDプラス編集部)

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