IBDの症状を抑えるリンパ球ができるメカニズムを一部解明

ニュース2019/7/10

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何がIBDの病勢を決めるのか?

東邦大学医学部生化学講座の片桐翔治大学院生、山﨑創准教授、中野裕康教授らの研究グループは、「JunB」という転写因子(遺伝子の働きを調節するスイッチ)が、免疫細胞が出す「インターロイキン-2(IL-2)」という物質のはたらきを活性化することにより、炎症のブレーキ役である制御性T細胞(Treg細胞)の生成を促進することを明らかにしました。この発見により、炎症性疾患の病勢を決めるメカニズムの一端が解明されたほか、その治療に向けた新たなアプローチの可能性が広がりました。

リンパ球などの免疫細胞が出すIL-2は、標的細胞に作用してその機能を変化させるタンパク質である「サイトカイン」のひとつ。以前は免疫反応を活性化するだけの因子と考えられていましたが、最近では免疫応答の抑制に重要なTreg細胞の分化誘導に必須なサイトカインとして注目を集めています。

Treg細胞は、さまざまな免疫応答を抑制することにより、自己免疫疾患の発症や過剰な免疫応答を防ぎます。つまり、この細胞は、免疫系の過剰な活性化を防ぐ重要な役割を担っており、その機能が低下しているマウスでは、さまざまな自己免疫疾患を発症しやすくなったり、炎症性疾患の症状が悪化したりすることがわかっています。一方で、体の中に十分な数のTreg細胞を準備する仕組みについては、不明点が多く残されています。

JunBのはたらきやIL-2シグナルの強さを調節する、新しい治療法の可能性

研究グループは今回、「JunB」という転写因子に着目して、大腸炎の研究を行いました。JunB欠損マウスに大腸炎を起こさせたところ、正常なマウスに比べ、症状が悪化することが判明。さらに調べたところ、Treg細胞の数が減少しており、これが大腸炎重篤化の原因と考えられました。

次に、JunBが働かないようにしたT細胞を調べたところ、この細胞では、IL-2の受容体の発現が低いことに加え、自分自身が放出するIL-2の量も少ないために、Treg細胞への分化が十分に誘導されないことを突き止めました。現在、いくつかのヒト自己免疫疾患に対してIL-2を投与する治療法の可能性が論じられていますが、今回の研究結果が、炎症性疾患に対する新たな治療プロトコールの確立につながることが期待されます。

研究グループは、「潰瘍性大腸炎などの炎症性疾患や多くの自己免疫疾患は、治療戦略はもとより、症状の発症・増悪メカニズムについても詳細がわかっていません。今回の発見に基づき、JunBのはたらきやIL-2シグナルの強さを調節するというアプローチにより、症状を緩和するという新しい治療法の可能性が開けました」と、述べています。

(IBDプラス編集部)

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