障害を受けた腸を再生する最も重要な細胞を発見

ニュース2020/5/27

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IBD新規治療法の開発につながる可能性

東京医科歯科大学・難治疾患研究所・生体防御学の樗木俊聡教授らの研究グループは、慶應義塾大学医学部、自治医科大学医学部と共同研究で、障害を受けた腸を再生する中心的な役割を担う細胞を特定したと発表しました。

腸管上皮は、栄養や水分の吸収に加え、腸内細菌から生体を保護する「粘膜バリア」という大切な役割を担っています。また、この腸管上皮機能の正常な状態は、常に「Lgr5」という幹細胞が活発に増殖し、新しい上皮細胞を供給することで保たれています。

放射線照射などで腸が損傷を受けるとLgr5幹細胞は一時的に失われますが、生き残ったさまざまな細胞が失われたLgr5幹細胞を回復させ、腸の再生に貢献していると考えられています。これまでの研究で、この再生に関与している細胞がいくつか見つかっていますが、腸の再生に最も重要な細胞を特定するまでには至っていませんでした。

そこで研究グループは今回、放射線照射で障害を受けた腸が再生するときに関わる、最も重要な細胞を特定することを目的として、マウスを用いた研究を行いました。その結果、放射線で障害を受けた腸管上皮の再生は、主に、放射線で死なずに生き残ったLgr5幹細胞の仲間のうち一部の集団によって担われていると判明。さらに解析を続け、この細胞集団は、「Sca1lowCD81high」というマークで識別でき、腸の再生に最も大きく貢献していることを突き止めました。

今回の研究で特定された細胞のさらなる解析や、用いた研究方法を応用することで、放射線照射後の腸炎や、炎症性腸疾患(IBD)などの新規治療法開発につながることが期待されます。

放射線治療で障害された腸の研究をきっかけにIBDの新規治療法の手掛かりが見つかったというのは驚きです。今回の発見を機に、IBD治療の新たな道が開けることを願います。

(IBDプラス編集部)

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