8歳の娘が潰瘍性大腸炎に。きちんと治療をしていたのにすぐ再燃しました…

医師と患者のお悩み相談2025/2/13

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娘が8歳で発症しました。1年も経たず再燃。再燃した後は薬を2倍量、2週間の注腸剤で血便はなくなったので、注腸剤のみ中止を医師から指示されましたが、再度少量の血と排便時に少しだけ腹痛があるそうです。1日2回、ゆる便です。この状態で3か月経過してしまいました。明日MRIをする予定です。以下質問です。
(1)しっかり薬を服用していましたが発症からたった8か月で再燃しました。これはイレギュラーではありませんか。薬が合わないのでしょうか。また、娘の寛解、再燃サイクルはだいたい1年に1回を目安に覚悟した方が良いでしょうか(寒くなると悪くなる、と娘は言います)、それともサイクルに決まりはありませんか。
(2)8歳という低年齢での発症だからこそ気をつけなければならないことはありますか。この年齢での発症のため、大腸がんリスクも今後心配しております。プールや寒い時期の5日間の林間学校も休ませる予定です。
(3)娘は双子ですが、1人だけ発症しました。もう1人も今後発症する確率は高いと思われますか。
(らくださん お子さんが潰瘍性大腸炎歴1年)

三枝先生

IBD専門医
三枝先生からの回答

(1)再燃のサイクルに決まりはありません。寒いから、勉強で不眠気味、体に悪い食事を取る(ファーストフード連日、ケーキ食べ放題、激辛ラーメンなど)などでも起きます。一方で、血清バイオマーカーLRG)や便中カルプロテクチンのバイオマーカーなど、再燃を予想できる検査はあります。これらの検査については、MRI後の定期受診の際に主治医先生に相談してみてください。

(2)8歳という多感な時に発症されたことは本当にお辛いですね。大腸がんのリスクは8年が目安とされています。しかし近年の薬の進歩は素晴らしく、先端治療、定期検査を受けて内視鏡的に炎症がない状態に保てれば、がんの発症は少ないのではないかと考えます。学校行事に関しては、私個人の意見ですが、炎症性腸疾患(IBD)であることを医師から担任の先生に説明していただき、理解を得た上で積極的に参加してもらうのが良いと思います。この疾患に関しては400人に1人発症していると言われていますので、学校の先生にも理解していただく必要があるでしょう。そして、お子さんの大切な思い出を作ってあげてください。もし体調が悪くなってしまった場合は、途中で帰宅、あるいは参加を辞退すれば良いと思います。

(3)潰瘍性大腸炎の遺伝的関与は否定できません。親子やごきょうだいで発症している報告もあり、一卵性双生児ではごきょうだいの両方で発症している頻度がそれ以外の場合より高いという報告もあります。一方で、潰瘍性大腸炎の発症には複数の遺伝子の変化が関わると考えられていますので、それほど悲観的になることはないと考えます。ご心配なようでしたら、IBDに詳しい小児科の医師にご相談ください。

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三枝陽一先生
JCHO相模野病院 消化器内科部長
三枝陽一先生
2001年 北里大学医学部卒業。北里大学病院 内科研修医
2003年 大和市立病院出向 内科後期研修医
2004年 北里大学東病院 消化器内科後期研修医、北里大学院入学
2008年 北里大学院卒業、学位取得。相模野病院出向
2018年 相模野病院 消化器センター部長
2018年 相模原保健所 疾病対策課

<学会資格>
日本内科学会総合内科専門医・指導医
日本消化器病学会専門医・指導医
日本消化器内視鏡学会専門医・指導医
難病指定医

三枝先生のIBD診療時間
月曜日:13:30~15:00
火曜日:9:00~11:30
水曜日:9:00~11:30
お問い合わせ:042-752-2025(代表)

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