レクタブル(一般名:ブデソニド)
潰瘍性大腸炎の治療で使用する主なお薬一覧 | 2018/8/2 更新
ブデソニドは、ステロイド(副腎皮質ホルモン)の一種です。ステロイドには炎症を抑える強い作用があります。このお薬は潰瘍性大腸炎に対し、肛門から直腸内に注入する泡状の注腸フォーム製剤です。泡状のため薬剤が腸内に留まり、肛門から漏れにくいというメリットがあります。立ったまま使用できるので利便性も高く、局所作用型で全身作用が少ないことから、飲み薬に比べて、安全性が高くなっています。
監修者:薬剤師 小坂信夫
効能・効果
中等症までの活動期潰瘍性大腸炎に対し、寛解導入を目的として使用します。なお、長期的な寛解維持療法には向きません。このお薬は腸内で到達する範囲は概ねS状結腸部までであり、直腸部およびS状結腸部の病変に対して使用されます。国内の臨床成績では、直腸からS状結腸に中等症の所見が認められる活動期潰瘍性大腸炎患者126例を対象に実施した二重盲検比較試験で、本剤(ブデソニドとして2mg)を1日2回6週間直腸内投与した結果、粘膜治癒率においてプラセボ(偽薬)よりも優れた効果が認められました。
使用上の注意
- 細菌やウイルスによる重い感染症のある人は、慎重に用いる必要があります。特に長期使用時は注意が必要です。
- 持病やアレルギーのある人は医師に伝えてください。
- 服用中の薬を医師に伝えてください。
- 妊娠している場合は、事前に医師と相談してください。
- 水痘(水ぼうそう)または麻しん(はしか)に感染しないように注意してください。
- 生ワクチン(麻しん、風しん、BCG等)の接種は、免疫機能を検査のうえ慎重に行います。
- β型肝炎ウイルスキャリアの患者さんに投与すると肝炎があらわれることがありますので、医師に相談し、定期的な検査を受けてください。
- アプリケーターを使い、直腸内に噴射します。使用回数は1日2回、1回あたり1プッシュです。具体的な使用方法は説明書にありますので、その手順にならって使用してください。
- 手指や目などにお薬が付着した場合は、速やかに水で洗い流してください。
- 高圧ガス(LPG)を使用した可燃性の製品なので、炎や火気の近くで使用しないでください。
併用禁忌・併用注意
他薬との併用によっては、この薬の血中濃度が上昇し、ステロイド薬を全身投与した場合と同様の副作用があらわれる可能性があります。マクロライド系抗生物質のクラリスロマイシン(クラリス、クラリシッド)、アゾール系抗真菌薬のイトラコナゾール(イトリゾール)、抗エイズウイルス薬のリトナビル(ノービア、カレトラ、ヴィキラックス)やコビシスタット(スタリビルド)などに注意が必要です。また、薬ではありませんが、グレープフルーツにも同様の性質があります。
用法・用量
【レクタブル2mg注腸フォーム14回】
通常、成人には1回あたり1プッシュ(ブデソニドとして2mg)、1日2回直腸内に噴射します。本剤投与中は患者さんの病態を十分観察し、投与開始6週間を目安に本剤の必要性を検討し、漫然と投与を継続しないようにします。
副作用
主なものとしては、血中コルチゾール減少、血中コルチコトロピン減少があります。これらは副腎皮質機能の低下を意味します。なお、重篤な副作用は報告されていません。その他の副作用は、以下のものです。
- 頭痛、不眠、めまい
- 痔、胃潰瘍、むくみ、高血圧
- ざ瘡(にきび、吹き出物)
- 血中コルチゾール減少、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)減少、肝機能値異常
コラム
病院などで処方された医療用医薬品については、医師の指示通りに最後まで服用してください。飲み忘れなどで残ったからといって、あとで同じような症状の時に使用したり、他の人に勧めたりしてはいけません。自己判断で使用すると、効果がなかったり、症状がさらに悪化したり、思わぬ副作用が出たりすることもあります。残ったお薬と同じものが再度処方された場合には、薬剤師に相談しましょう。
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