心理的ストレスで腸内環境が乱れるメカニズムを解明

ニュース , 腸内細菌を学ぶ2021/5/13

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腸内細菌叢のバランスを保つ物質がストレスで減少し、腸内環境が乱れる

北海道大学大学院先端生命科学研究院の中村公則准教授、綾部時芳教授らの研究グループは、小腸のパネト細胞が分泌する自然免疫の作用因子「αディフェンシン」が心理的ストレスによって減少することを明らかにし、さらに、うつ状態を起こすようなストレス下では、αディフェンシンの減少によって腸内細菌叢と腸内代謝物が異常になり、一定に保たれているはずの腸内環境がかき乱されてしまうことも判明したと発表しました。

小腸で免疫に携わっているパネト細胞が分泌する「αディフェンシン」は、腸内細菌叢とその代謝物を調節する物質で、腸管環境のバランスの維持に役立っています。今回、研究グループは「心理的ストレスによって小腸のパネト細胞からのαディフェンシン分泌量が減少することで、腸内細菌叢とその代謝物のバランスが破綻するのではないか」という仮説を立て、研究を行いました。

うつ病モデルマウスにαディフェンシン投与試験を行った結果、ストレスでαディフェンシンが減少し、それが引き金となって腸内細菌叢が異常になり、さらに、腸内代謝物のバランスが崩れるということが初めて明らかになりました。

うつ病に対する予防法や新しい治療法の開発に期待

今回の研究により、心理ストレスによって、早い段階から小腸のパネト細胞からのαディフェンシン分泌量が低下することが示されました。研究グループは、「将来的に、うつ病に対する予防法や新しい治療法の開発が期待される」と、述べています。

ストレスで悪化するとも言われているIBD。まだ確実な証拠はありませんが、今回発見された仕組みが関わっているのかも?続報があればまたお伝えしたいと思いますので、ご期待ください。

(IBDプラス編集部)

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