IBDと「似た症状」のある疾患とは?
ニュース | 2021/9/15
実は、IBDとよく似た症状が現れる病気が、いくつかあるということをご存じでしょうか?「IBDの疑いあり」のまま、何年も確定診断を待っている人もいますが、医師は似ている病気との見分けも含めて慎重にIBDの診療を行っています。そのため、確定診断に時間を要しているという可能性もあります。それでは、実際に医師がIBDと見分けている病気にはどのようなものがあるのでしょうか?今回は、その一部をご紹介します。
感染症から遺伝性疾患まで。IBDとの区別がつきにくい7つの疾患
腸管型ベーチェット病
炎症性疾患であるベーチェット病の一種で、腸に潰瘍が繰り返しできるのが特徴。それ以外の主な症状は腹痛、下痢、下血など。腹痛は右下腹部(回盲部)に出ることが多い。潰瘍が原因で消化管出血や腸管穿孔が起こり、手術になるケースもある。消化管だけにとどまらず口内や目など、他の部位にも症状が出ることが多い。
腸結核
結核菌が腸に侵入して炎症を起こし、潰瘍ができる病気。腹痛、下痢、下血、発熱、体重減少などがみられるが、腸結核に特徴的な症状はない。肺結核も併発していることで咳や痰といった呼吸器症状が現れるケースもあるが、日本では多くない。腸結核だけの場合、通常は他人に感染させることはないとされている。
家族性地中海熱
炎症を抑える働きをするタンパク質の設計図となる遺伝子(MEFV遺伝子)の異常で発症する病気。38度を超える急激な発熱、腹痛、胸痛、関節の腫れ、息苦しさ、咳などの症状が繰り返し起こる。発熱は4週間ごとに起こるケースが多く、過労やストレス、月経などが誘発原因と考えられている。腹痛は一般的に片側で起こることが多い。
薬剤性大腸炎
治療で投与された薬剤が原因で起こる急性の大腸炎。原因となり得る薬剤として、抗生物質、抗がん剤、経口避妊薬、非ステロイド性抗炎症剤(NSAIDs)などがあげられる。腹痛、下痢、血便などの症状が起こる。
エルシニア腸炎
食中毒菌「エルシニア属」の細菌による感染症。潜伏期間は1~11日とされている。主な症状は腹痛、下痢、血便、発熱など。腹痛は右下腹部に起こることが多い。あわせて、関節炎や結節性紅斑が見られることもある。多くは1か月以内に軽快する。クローン病と間違われるケースがある。
非特異性多発性小腸潰瘍症
小腸粘膜の保護に関わるタンパク質の設計図となるSLCO2A1遺伝子の異常が原因で小腸に潰瘍が多発する病気。腹痛、下痢、腸閉塞などの症状が繰り返し起こる。これらの症状は難治性であることが多く、腸管狭窄に対して手術が必要となることも。さらに、潰瘍からの出血が原因で低たんぱく血症となり、貧血や手足のむくみが起こる。
リンパ濾胞増殖症
腸炎の症状がみられ、注腸X線検査や内視鏡検査で調べると、腸管粘膜にリンパ濾胞(免疫細胞が集合している部分)が多く見られる病気。潰瘍性大腸炎の初期症状に類似している。
(IBDプラス編集部)
IBDプラスからのお知らせ
治療の選択肢が広がる「治験」に参加してみませんか?IBD治験情報サービスへの無料登録はこちら会員限定の情報が手に入る、IBDプラスの会員になりませんか?
IBDプラス会員になるとこんな特典があります!
- 1. 最新のニュースやお得な情報が届く
- 2. 会員限定記事が読める
- 3. アンケート結果ダウンロード版がもらえる