日本人の腸内細菌叢タイプを定義、IBDで多いタイプとその特徴は?

ニュース , 腸内細菌を学ぶ2022/6/2 更新

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日本人1,803人分の健常者と疾病有病者の腸内細菌叢データを分析

京都府立医科大学、摂南大学、株式会社プリメディカは、三者共同研究「腸内細菌叢研究データベースの統合的解析による腸内環境評価システムの開発」を実施したと発表しました。

近年、腸内細菌叢解析の発達で腸内細菌叢の全容が明らかにされつつあり、さまざまな疾病との関わりも示唆されています。しかし、従来の腸内細菌叢の研究では、人種や食生活など、背景にある環境因子の影響を大きく受けることや、測定においても前処理技術などの違いにより、結果の解釈が分かれることが課題となっていました。

そこで研究グループは今回、AI(人工知能)を用いて、日本人1,803人分の健常者と疾病有病者の腸内細菌叢データの統合解析を行い、日本人腸内細菌叢データベースを構築しました。

IBDが多い腸内細菌叢タイプは「ビフィドバクテリウム属」の占有率が多い

さらに、38細菌属の存在比率に基づき5つのタイプ(Type A~E)に定義。各タイプと疾患との関連性を明らかにしました。

その結果、最も健常者が多かったのは「Type E」で、食物繊維の摂取と関連性が深いと考えられている「プレボテラ属」の存在比率の高さが特徴としてみられました。

さらに「Type E」のプロファイルをもとに、各疾患のオッズ比を算出。健常者が少ない「Type A」と「Type D」では、さまざまな疾患との関連が示されました。

「Type A」は、複数の疾患で有意に高いオッズ比を示し、中でも循環器系疾患、神経系疾患、生活習慣病で特に高いオッズ比を示しました。

「Type D」は、炎症性腸疾患(IBD)がオッズ比27倍と非常に高値で、機能性胃腸障害でも高いオッズ比を示しました。また、このタイプはビフィズス菌に代表される「ビフィドバクテリウム属」の平均占有率が約20%と、顕著に高いということが特徴としてみられました。

今後は、今回の研究成果を社会実装した腸内細菌叢検査サービス「Flora Scan」を通して研究を続けながらデータを収集し、腸内細菌叢改善効果のある食品機能性等の研究における標準的な評価指標として、幅広く用いられることを目指していくとしています。

(IBDプラス編集部)

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