大腸上皮の「可塑性」発見、炎症性腸疾患の新たな治療法開発に期待
ニュース | 2017/12/27
潰瘍部分の組織再生に、大腸上皮が「可塑性」を発揮
大腸上皮の全細胞の源「大腸上皮幹細胞」。大腸の上皮が作られる過程は、この幹細胞から「吸収系」と「分泌系」に分かれるところから始まります。これまで、吸収系と分泌系に分かれてしまったら最後、元の幹細胞として働くことはないと考えられてきました。しかし近年、さまざまな組織で、組織が傷ついたりして再生が必要になると、一度分かれた細胞が元の幹細胞のような性質を獲得する「可塑性」があることが報告されています。
東京医科歯科大学の研究グループは、大腸の分泌系上皮細胞の、その後の変化を追跡できるマウスを作製して解析。その結果、分泌系の上皮細胞のうち、ごく一部の細胞が、幹細胞として機能していることを発見しました。
腫瘍増殖時には腫瘍幹細胞として働く
研究グループは、このマウスに大腸炎を発症させて、分泌系の上皮細胞を観察しました。すると、大腸炎でないときと比べ、大腸炎が起こったときには、多くの分泌系の細胞が幹細胞として働き、炎症でできた潰瘍部分の組織を再生するために機能していることが明らかになりました。また、炎症の起こった部分にできた腫瘍が増殖する際には、分泌系の上皮細胞が姿を変えた腫瘍幹細胞が働いていることも確認しました。
この研究で明らかになった、大腸の分泌系上皮細胞の可塑性。この性質をコントロールすることで、炎症性腸疾患などに対する粘膜再生治療の開発だけでなく、炎症からがんになる仕組みの解明につながることが期待されます。
(IBDプラス編集部)
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