腸内細菌の代謝で出た物質が「認知症」と強く関連することを発見
IBDの研究でも注目される「腸内細菌」
国立長寿医療研究センターもの忘れセンターの佐治直樹副センター長は、東北大学、久留米大学、株式会社テクノスルガ・ラボと協力し、もの忘れ外来を受診した患者さんの便検体を収集・解析した結果、腸内細菌の代謝産物が認知症と強く関連することを発見したと発表しました。
近年、腸内細菌はIBDなど消化管の病気や、免疫などの身体システムに影響することがわかっています。
研究グループは過去の研究で、認知症の有無により、腸内細菌叢が大きく変化するという知見を発表していますが、腸内細菌が認知機能にどのように影響するのかについては未解明でした。
研究グループは今回、もの忘れ外来を受診した患者さんに認知機能検査や頭部MRI検査などを実施し、検便サンプルを同センター・バイオバンクに収集して、腸内細菌を解析。代謝産物と認知症との関連について、統計学的に分析しました。
その結果、認知症ではアンモニアなどの代謝産物が増加し、乳酸は減少しているということがわかりました。
これは、年齢によらず、糞便中のアンモニアや乳酸が認知症と関係することを示しているそうです。
今回の研究で明らかになった「腸内細菌の代謝産物が認知機能に関連する」という新しい知見は、認知症が起こる原因の解明に役立つ可能性があるということです。
IBDでも注目される腸内細菌ですが、消化器から遠く離れた脳にも影響しているというのは驚きですね。認知症の新しい治療法の開発など、今後の展開が期待されます。
(IBDプラス編集部)
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